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「マジンガーZと会社員」、これをリアルに見せるには?

上田誠・ヨーロッパ企画主宰に聞く

  • 中沢 明子

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2013年4月1日(月)

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 関西を中心に活躍する人気劇団「ヨーロッパ企画」が、ゼネコン前田建設工業(以下前田建設)の「ファンタジー営業部」を舞台にして、公演を行っている(4月3日まで東京・有楽町で上演中、公演案内はこちらから)。

 企業と芝居、水と油のように思える関係性の中から、会社が「自らの言葉」で顧客に語りかける方法論が見えてくる。ウェブ時代のコミュニケーションの論客、小林弘人氏(インフォバーン代表取締役CEO)と、ヨーロッパ企画主宰、上田誠氏の対談、後編です。

(構成:中沢明子)

【前編から読む

(写真:陶山 勉、以下同)

小林:先ほど、上田さんは「なかなか舞台に載らない題材を舞台にしたい」とおっしゃいましたが、もう少し詳しくそのあたりをお聞かせいただけますか。

上田 誠(うえだ・まこと)
「ヨーロッパ企画」主宰。劇作家、演出家、構成作家、映像作家。 1979年11月生まれ、京都府出身。ヨーロッパ企画の代表としてこれまでの全公演の脚本・演出を担当。外部での脚本・演出や、映画・ドラマの脚本、テレビやラジオの企画構成も手がける。また、ラジオパーソナリティや、イベントなどへの出演も多い。2010年、構成と脚本で参加した「四畳半神話大系」が第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞受賞。

上田:3年ほど前には近未来の昭和島を舞台に「工業」をテーマにした「昭和島ウォーカー」を作りました。実はそうした工業や産業というテーマは演劇の世界で、特に僕らがいるような小劇場の世界において、いまやほとんど扱われないんですよ。

 たとえば、すごく有名な戯曲ですが、ラブホテルにたまたま会ったばかりの男女が泊まってそのまま何日間か過ごして、その間に世界では戦争が起きていて…みたいな、そういう世界の切り取り方をする戯曲が、どちらかというと現代的で。


企業物語は今の演劇的には「カウンター」

小林:ああ、ありそうですね。

上田:最近では文芸のジャンルにおいても、社会や世界よりもっとこう、1人の個人の内面や、非倫理的なものが描かれることが多いように思っています。お客さんが見たがるからなのか、作り手が作りたがるのか、はっきりとはわかりませんが。

小林:上田さんご自身は、どういう志向を。

上田:僕らの劇団の平均年齢は、今30歳ちょっとオーバーですが、僕らより上の世代の劇団は、うーん、どう言ったらいいんでしょうかね……大きい劇場にお客さんをたくさん集めて、どーんと大きい興行をやることに喜びを見いだしているような感じがします。

 そんな諸先輩方がいる一方で、僕らより下の世代になればなるほど、アトリエみたいなところで10人前後のお客さんに見せるような劇をやると。

小林:オフブロードウェイのさらにオフ版、みたいな。

上田:そうなんです。何かエンターテインメントというより「芸術」に近づいている感覚があって。

小林:なるほど。

上田:僕らがちょうどその間にいるんですね。かつての「大きいことに向かって時代が進んでいるぞ」というところから、「あれ、そうじゃないのかな」という感覚が、今の自分らの感覚というのは肌でわかるんです。だから、芸術のような劇が増えている。

 そうした時代の流れの中で、この『前田建設ファンタジー営業部』を読んで「劇にしたい」と思ったときに、おそらく岩坂さん(原作を執筆・構成した前田建設の岩坂照之さん)の立場であったり、前田建設という会社の今の立ち位置だったりというところも、分節点といいますか、そういった立ち位置にいらっしゃるんじゃないかな、そう僕は感じました。

岩坂 照之(いわさか・てるゆき)
前田建設工業総合企画部広報グループ長。1993年に前田建設工業に入社。トンネル(シールド)技術開発に従事した後、埼玉大学、高知工科大学に国内留学。日本大学理工学部社会交通工学科の元非常勤講師。工学博士。

小林:なるほど。

上田:舞台化を考えるときに「ということで、この作品はおそらく僕らしか劇にしないだろうな」と思いました。今、演劇の世界でこれをやるというのはちょっとカウンターになるかもしれないなという、劇作家的な色気もあったりしますね。

 企業の物語と、ドラマとか演劇の創作世界が乖離しかけていると、作家として感じています。いろいろ調べ物をして書くのは、昔は作家としてのたしなみだったと思うんですが、今は調べ物をして社会のある領域を描くというよりは、自分の体験、感覚、感触を書くということにどんどんシフトしていっている。言葉がそっちにばかり使われているような感じが、何となくありまして。

企業を通して「社会」とつながる

小林:「社会の中の私」じゃなくて「社会より私」、という。

上田:そうですね。ですから、そうじゃない劇があってもいいんじゃないか、と思っています。

 いわゆる「セカイ系」と呼ばれる、社会領域を抜いて僕と君がいて、世界の危機があって、それは実は自分とこの女の子の恋愛が鍵を握っていて、というようなことって、そんなことあるわけなくて。

小林:ないですね(笑)。

上田:もちろんそういう物語だって魅力的ですし、演劇や読書といったエンターテインメントに触れている時ぐらいは、社会を忘れて「私」だけに浸りたい、というのも当然あると思います。だけど、「社会」と「私」という二つの領域が一致すれば本当はすごく面白い。

コメント3件コメント/レビュー

本になる前からサイトは見ていたのですが、本を購入して、SF大会で「ファンタジー営業部」の人にお会いして名刺などもらって満足してしましい、そこで私的には終っていたのですが、まだ続いていたのですね。書籍も続編が出ているし、ここまで継続していることが驚きです。続けていることでいろいろ広がりがでてきているのでしょうね。(2013/04/01)

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本になる前からサイトは見ていたのですが、本を購入して、SF大会で「ファンタジー営業部」の人にお会いして名刺などもらって満足してしましい、そこで私的には終っていたのですが、まだ続いていたのですね。書籍も続編が出ているし、ここまで継続していることが驚きです。続けていることでいろいろ広がりがでてきているのでしょうね。(2013/04/01)

前田建設ファンタジー営業部のWEBサイトの企画の数々には私もバカ受け(死語)した口ですので、お芝居も大ヒットするといいですね。(2013/04/01)

題名がフィッシングあきれた(2013/04/01)

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