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なぜメーカーは、もっと売り場をマーケティングしないのですか?

前提もタブーもない、セイコーマートのマーケティング経営

2013年4月15日(月)

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日経デジタルマーケティングは、書籍『マーケティング立国ニッポンへ――デジタル時代、再生のカギはCMO機能』を発行した。このコラムでは、その関連記事を紹介していく。マーケティングとマネジメントを精緻に連動させて企業価値を増大させているケーススタディを中心に構成。前回の、「100円にこだわった『トマトとキュウリのシンプルサラダ』誕生秘話」では、サラダを例に究極の「顧客起点」を紹介した。今回は、PB(プライベートブランド)商品に触れながら、企業と顧客の在るべき姿を探っていく。

 「なぜメーカーは、もっと売り場をマーケティングしないんですかね」

 セイコーマートの丸谷智保社長はこう指摘する。

メーカーのマーケティングは売り場と断絶している

 ある菓子メーカーの担当者が、若者向け新商品の取引交渉にセイコーマートへやって来たときのこと。そのカテゴリーの菓子をあまり買わなくなった若者をターゲットにしており、確かに戦略的に設計された商品だ。味覚やパッケージに工夫が施されている。だがその分、値段が高い。

 一方で、セイコーマートの顧客における10~20代の比率は十数パーセントにすぎない。到底、そのままでは売れ筋商品になるとは考えられない。交渉に来たメーカーの営業担当者に丸谷社長はこう尋ねた。「なぜ、うちにこれを持ってくるんですか?」。しかし担当者の答えは的を射ない。何日か過ぎたころ、そのメーカーの本社のマーケティング部門から、長々とした説明が届いた。そこに書かれていた「戦略」、それはそれで精緻に作られていて立派に見えたが、「やっぱり、この商品はうちには要りませんね」と断ったという。

 「お客様に近い営業部門の声や情報が、本社の商品開発部門の現場にうまく届いていないのではないか」というのが、丸谷社長の見方だ。社内の情報が途切れてしまっている。営業マンは営業マン、マーケティング部門はマーケティング部門、それぞれの領域に閉じこもって仕事をしている。いわゆる“タテワリ”の状態だ。なぜ、生活者の近いところにいる営業マンが、本社のマーケターに現場の情報を使って意見しないのか。マーケティングが末端の神経と一本の糸でつながっていないことへの警鐘である。

 最近は小売りの力が強くなっている、小売りがメーカーを選ぶ時代だ、とも語られる。しかし丸谷社長は、それには全く賛同できないという。逆に、メーカーも小売りを選別していく時代になると見る。どちらが上、という話ではないという。

 売りの現場と生産・企画の現場が、いかに有機的につながっているか。それこそが肝要であり、メーカーと小売りは、その点において同じ船に乗るべきだという考えである。商品の棚だけ渡して、「さあ売ってくれ」というやり方は、彼の思想に最も相反するというわけだ。

 PB商品、セイコーマートが言うところのリテールブランドに対する考え方も一貫している。一般のPB商品と異なり、製造を含む全過程を自分たちの責任において管理する。そうでなければ、それは「ダブルブランド」にすぎないという姿勢だ。

 リテールブランド商品に付いているラベルに記された「お客様問い合わせ先」も、セイコーマートのコールセンターになっている。バリューチェーン全体を扱うことで、初めて顧客に届ける最終価値をきちんと創造できる。そうした考え方が、ここにも表れている。

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「なぜメーカーは、もっと売り場をマーケティングしないのですか?」の著者

安藤 元博

安藤 元博(あんどう・もとひろ)

博報堂

1988年博報堂入社。主にマーケティングセクションに在籍し、企業の事業/商品開発、キャンペーン開発、グローバルブランディングに従事。2010年より、「統合マーケティング」のハブとなる組織を率いる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員