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敗れたヨルダン戦に見た日本代表の新たな可能性

「トップ下香川」を実戦で試して浮上した課題と希望

2013年4月5日(金)

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 3月26日にアウェーで行われたサッカーワールドカップ(W杯)アジア最終予選のヨルダン戦。来年にブラジルで開催される本大会出場を決めるには、勝ち点1(引き分け)以上でいい状況だった。

 チームの攻守を牽引する本田圭佑と長友佑都を負傷で欠き、不安視される点も多少はあった。しかしそれ以上に、トップ下に香川真司を配置した新しい布陣に対して、これまでのザックジャパンとは一味違う展開を期待していたサポーターが多かっただろう。

 結果は試合終盤の遠藤保仁のPK失敗もあり1―2で敗れ、本大会出場決定も次戦に持ち越しとなった。この試合の敗因がこれまでとは異なる布陣にあると指摘するメディアもあった。これまでのアウェーでの試合と比較して、ヨルダン戦における日本代表のパフォーマンスはどうだったのだろうか。

ヨルダン戦とオマーン戦の基本スタッツ
(これ以降のデータはすべてデータスタジアムからの提供)

 上の表は、ヨルダン戦とオマーン戦(2012年11月14日)の基本スタッツを示したものだ。最終予選をアウェーで戦った最近の2試合である。基本スタッツの中でも、日本のシュート数、ペナルティーエリアへの進入数は今回のヨルダン戦の方がオマーン戦を大きく上回っていた。

 ペナルティーエリアへの進入数では、これまでのホームでの試合を含めても最多の28回に上った。しかし、結果として得点を奪うことはできなかった。一方で、ヨルダンは放ったシュート6本のうち5本は枠内をとらえ、そのうち2本が日本のゴールネットを揺らした。

 さらに時間帯別ボール支配率とシュート数のデータを見てみると、ヨルダン戦と比較して、オマーン戦はすべての時間帯で日本が高いボール支配率を示していたが、シュート本数が0本の時間帯もあり、逆にオマーンのシュート本数が日本を上回る時間帯があった。このようにボールを支配しているものの、シュートまで持ち込めない攻撃の停滞感が浮き彫りになっていた。

時間帯別支配率とシュート数
()内はシュート数

 一方で、今回のヨルダン戦ではすべての時間帯でシュートを打ち、シュート本数もすべての時間帯でヨルダンを下回ることはなかった。逆にボールを支配していた後半15分に1つのミスからカウンターでヨルダンにゴールを奪われたが、試合の内容としては、むしろヨルダン戦の方が良かったと評してもいい。

コメント3件コメント/レビュー

ヨルダン戦は少し考えちゃ居ましたね。 「ザックは本当にこのメンバーでW杯に行く気かしら?」と。。。 香川が機能するとかしないとか以前に、「1トップがボールを収められない」事に愕然としました。 長友はサイドの選手なので、前線の違いは「本田が居ないだけ」にも関わらず。 ザックジャパンは「一旦ポストに当てて(本田に当てても良い)、押し上げて左右又は中央から崩す」という基本フォーマットがあります。 なので、それを前提に攻撃陣は皆動く訳ですが、基本フォーマットそのものが最初の一発目で撃沈しまくってた中で、臨機応変にチャンスを作ってました。 残念な結果になったものの、1トップで出た2人以外の攻撃陣は香川も含めて健闘したと言っても良いのでは思います。 それにしても、「世界でもこの攻撃フォーマットで行く気なのか?ザッケローニ・・・」と考え込んでしまいました。 ま、コンフェデレーションズカップで前田が躍動して、「ボクノメハフシアナデシタ。ゴメンナサイ」となるかもしれないですけどね。(2013/04/05)

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「敗れたヨルダン戦に見た日本代表の新たな可能性」の著者

永野 智久

永野 智久(ながの・ともひさ)

スポーツアナリスト/アンドスポーツ代表

「巧みなワザやコツの可視化」をテーマにスポーツ選手のパフォーマンスを定量的に評価する研究に取り組んでいる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ヨルダン戦は少し考えちゃ居ましたね。 「ザックは本当にこのメンバーでW杯に行く気かしら?」と。。。 香川が機能するとかしないとか以前に、「1トップがボールを収められない」事に愕然としました。 長友はサイドの選手なので、前線の違いは「本田が居ないだけ」にも関わらず。 ザックジャパンは「一旦ポストに当てて(本田に当てても良い)、押し上げて左右又は中央から崩す」という基本フォーマットがあります。 なので、それを前提に攻撃陣は皆動く訳ですが、基本フォーマットそのものが最初の一発目で撃沈しまくってた中で、臨機応変にチャンスを作ってました。 残念な結果になったものの、1トップで出た2人以外の攻撃陣は香川も含めて健闘したと言っても良いのでは思います。 それにしても、「世界でもこの攻撃フォーマットで行く気なのか?ザッケローニ・・・」と考え込んでしまいました。 ま、コンフェデレーションズカップで前田が躍動して、「ボクノメハフシアナデシタ。ゴメンナサイ」となるかもしれないですけどね。(2013/04/05)

永野氏の解析・分析する力は素晴らしいと思います。さらに、得られたデータを可視化し、一般の読者にもわかり易くして、興味を持たせようと努力していることに驚きます。(2013/04/05)

サイドバックの酒井がまったく機能していなかったのが痛かった。攻めの時間では有効なスペースに走れず、守りの時間では容易に敵にボールを奪われ失点のきっかけになっていた。これまで長友の影になって出場機会に恵まれず、個人的に期待が高かっただけに落胆させられた。また清武がいい動きをしていたのは認めるが、まだ本田とのレベルの差は大きい。ボールキープと動きの柔軟性がまだまだだと感じる。乾をもっと早く(スタメンでも面白かったのでは?)投入、トップ下でドリブルでかき回させ、香川を自由にさせ、裏に走らせる隙をより多く作り出せたら得点機会は多く生まれたのではないか。とにもかくにも、日本の得点力のなさが現れた試合だった。イブラヒモヴィッチとまでは言わないが、一人で状況を打開し得点できてしまうだけの強いFWを望みたい。複数で崩すのが今の日本の得点スタイルだが、キーパーソンが失われると一気に失速する。この記事にもある通り、代表メンバーがもっと柔軟に動きを作り出せないと厳しいだろう。攻撃であれ、守備であれ、日本のサッカーレベルではより早くスペースを見つけ出し、より多く走らなければ勝てないことが証明されてしまった。(2013/04/05)

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三品 和広 神戸大学教授