• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

社員の健康増進で企業価値アップ

導入広がる「健康経営」、金銭的インセンティブの追い風も

2013年4月15日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

健保組合は赤字続き

 このような健康経営の概念が、日本の産業界で注目を集めるようになったのは、メンタルヘルス不調者の増加による生産性の低下が大きい。警察庁の資料によれば、日本の自殺者は1998年に年間3万人を突破し、それが2011年まで続いた。同年には、原因・動機が特定された自殺者2万2581人のうち2689人で「勤務問題」が影響している。

 そこまでいかなくても、メンタル不調が原因で退職や長期間の休職に追い込まれる人はどの企業にもいる。厚生労働省の資料によれば、「精神障害などによる労災保険の支給請求件数」は2011年度に1272件。3年続けて1000件の大台に乗った。うち202件は未遂を含む自殺による労災請求だ。

 2010年6月に政府が策定した新成長戦略に、「メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合100%」という目標が盛り込まれた。現在、メンタルヘルス対策を柱の1つに据えた労働安全衛生法の改正手続きが進められているのも、会社員のメンタルヘルスが悪化している表れといっていい。

 もちろん、がんや心筋梗塞、脳卒中という日本人の死因の上位を占める疾患の予防も、企業の健康経営の重要テーマであることに変わりはない。重要な業務を担当している社員が仕事のできない状況になってしまえば、企業が痛手を被るのはいうまでもない。

 また、2008年度から「特定健診・特定保健指導」(メタボ健診)が導入され、40歳以上の健康保険組合などの加入者を対象とする生活習慣病対策が義務づけられた。大企業の多くは健保組合を設立しているし、中小企業は全国健康保険協会が管掌する健康保険に加入しているケースが多い。いずれにしろ、生活習慣病対策の一翼を担うことになる。

 心身を病んで治療が必要になる社員が増加すれば、その医療費が保険者の財政を圧迫する。健保組合を例に取れば、2007年度までは全健保の合計で経常収支が黒字だったが、後期高齢者医療制度がスタートした2008年度以降は、毎年3000億円を超える赤字を計上。2012年度の予算段階では、赤字額は5782億円と見積もられ、約1400組合の4割が保険料率の引き上げを検討していた。

図1:健康保険組合の経常収支の状況と保険料率引き上げ組合数の推移
注:2010年度までは決算、2011年度は決算見込み、2012年度は予算早期集計の数値
出所:健康保険組合連合会

 2009年、米国の大手自動車メーカー、ゼネラル・モーターズが経営破たんしたが、その原因の1つも、従業員医療費の重い負担だったとされる。いずれ日本でも、似たような事態が起きる可能性は否定できない。

「健康経営最前線」のバックナンバー

一覧

「社員の健康増進で企業価値アップ」の著者

井上 俊明

井上 俊明(いのうえ・としあき)

日経ヘルスケア編集委員

日経BP総研 中小企業経営研究所主任研究員。日経ヘルスケア編集委員などを経て現職。入社後25年近くにわたり、医療・介護分野を取材。1998年から5年間日経ビジネス編集部に所属し、税金、健康保険、年金などを受け持つ。2007年社会保険労務士登録。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

リクルートは企業文化そのものが競争力です。企業文化はシステムではないため、模倣困難性も著しく高い。

峰岸 真澄 リクルートホールディングス社長