社員の健康増進で企業価値アップ

導入広がる「健康経営」、金銭的インセンティブの追い風も

 今年2月15日、東京・本郷にある東京大学伊藤国際学術センターのホールに、企業の人事担当者や健康保険組合の役員など350人を超える人が集まった。「健康づくりを促す社会的評価が始まった」と題したシンポジウムを聴講するためだ。

昨年秋、東京大学に設置された健康経営研究ユニットで特任教授を務める尾形裕也氏。厚生労働省出身で医療制度や医療保険に詳しい

 主催者は、東大政策ビジョン研究センターで昨年11月に創設されたばかりの「健康経営研究ユニット」。東大がこうした講座を開設したことは、「健康経営」が社会の重要な課題になったことを示すといっていい。

 健康経営研究ユニットの特任教授を務める尾形裕也氏は、「健康経営は、従業員のモチベーションや企業のブランド価値をアップさせ、CSR(社会的責任)を実現し、疾病予防による医療費削減や生産性向上ももたらす」とその意義を強調。「企業価値を増大させる」と力説する。

健康づくりで収益性向上

 企業が従業員の健康に配慮したマネジメントを行う、というのが健康経営の基本的な概念だ。1980年代、米国の経営心理学者ロバート・ローゼン氏が、「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という考え方を提唱したのをきっかけに、欧米の産業界に広がり始めた。

 「従業員の健康が企業および社会にとって不可欠な資本だ」との認識に立ち、健康情報の提供や健康投資を促す仕組みを構築することで生産性の低下を防ぎ、それによって医療費の増加を抑え、企業の収益性向上を目指す。

 日本では、大阪ガスの統括産業医である岡田邦夫氏らが、2005年にNPO法人「健康経営研究会」を設立した。同会は「健康経営」を商標として登録し、セミナーや出版活動などでその普及を図っている。

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著者プロフィール

井上 俊明

井上 俊明

日経ヘルスケア編集委員

日経BP総研 中小企業経営研究所主任研究員。日経ヘルスケア編集委員などを経て現職。入社後25年近くにわたり、医療・介護分野を取材。1998年から5年間日経ビジネス編集部に所属し、税金、健康保険、年金などを受け持つ。2007年社会保険労務士登録。

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