• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

不明なことが多いPM2.5の健康障害

本格的な解明はこれから

2013年4月11日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 4月初旬、中国・北京でのPM2.5濃度が日本の環境基準の5倍にも達しており、呼吸器や循環器の患者が大幅に増えているというニュースが耳目を集めた。一方、国内では各地で高濃度が記録された日もあるが、深刻な健康障害はまだ報告されていない。

 環境省が設置した「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」は、今年3月にまとめた報告書の中で、今回の一時的な濃度上昇によって「何らかの健康障害が生じるリスクがわずかに増加した可能性がある」としながらも、濃度上昇が見られた日やその後に「明確にリスクが上昇したというデータは現在のところ得られていない」としている。

 果たしてPM2.5は、どれほどの健康障害をもたらすのか。恐れるべきなのか、それほどの脅威ではないのか。

確実に「ある」と見られる健康への影響

 我が国では2009年9月に、「1年平均で1立方メートルあたり15μg、かつ1日平均が35μg」というPM2.5の環境基準を環境省が告示した。環境基準の設定につながったのは、同年の中央環境審議会の専門委員会でなされた報告。この報告では、微小粒子状物質への暴露(PM2.5にさらされること)と健康影響との関連性について「多くの不確実性が存在すると考えられる」が、循環器・呼吸器疾患、肺がんなどの「健康影響の原因の1つとなりうると考えられる」と結論づけられている。

 このほか多くの報告で、PM2.5の健康への影響は「あり得る」という点では一致しているようだ。だが、その影響がどの程度のものなのかについては、さまざまなニュアンスの情報が飛び交っている。

 たとえば、大気中のPM2.5濃度が1立方メートルあたり10μg増加すると、心臓や肺の病気による死亡率が9%、肺ガン死亡率が14%、全死亡率が6%増えるという、アメリカでの調査報告がある(図1)。

●図1 PM2.5が10μg増えたときの死亡率の変化

 また、アメリカ6都市の死亡率とPM2.5濃度との関係を調べた結果から、同じく1立方メートルあたり10μg濃度が増加すると全死亡率は10~15%増加するというショッキングなデータも紹介されている。

 また、OECD(経済協力開発機構)が2012年に作成した「OECD環境アウトルック2050」において、世界各国がより意欲的な環境対策に転換しないままであれば、大気汚染による健康被害が世界的に増加すると指摘されている。地表レベルのオゾンと粒子状物質による影響で、1年間に早期に死亡する人の数が2030年までに2010年の1.6倍ないしそれ以上に、2050年には同じく2.1倍~2.5倍(360万人)程度になると予想している(図2)。

●図2 世界的な早期死亡者数の予測(環境要因別):基本シナリオ、2010~2050
出所:OECD Environmental Outlook Baseline(OECD,2012)、「近代の大気汚染問題をめぐる状況と広域大気汚染総合対策への考え方」(坂本和彦「日中環境産業」2012年9月号)より作図

「微粒子に気をつけろ!日本を襲う「PM2.5」の真実」のバックナンバー

一覧

「不明なことが多いPM2.5の健康障害」の著者

山村 紳一郎

山村 紳一郎(やまむら・しんいちろう)

サイエンスライター

科学と技術の全分野で取材・執筆活動を展開中。科学雑誌や書籍を中心にして、ルポルタージュや解説記事、科学実験の開発・実演記事を執筆。教育番組の製作協力、各種ドラマ番組の科学監修なども。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長