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ビッグデータを経営に生かすツボ

ブレインパッドの草野隆史社長に聞く

2013年4月25日(木)

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日経デジタルマーケティングは、書籍『マーケティング立国ニッポンへ――デジタル時代、再生のカギはCMO機能』を発行した。このコラムでは、その関連記事を紹介していく。連載で紹介してきたセイコーマートや、宝島社のケーススタディを通じて明らかになった経営トップとマーケティングの密接な関係の重要性。それらを踏まえて連載最終回では、ビッグデータを核とした全社的なマーケティング戦略を展開する秘訣について、ブレインパッドの草野隆史社長に話を聞きながら解き明かしていく。

私は比較的長い間、広告会社の立場からマーケティングにかかわってきました。その目で改めて「ビッグデータのマーケティング活用」というテーマで感じることは、そもそも今の日本企業において、ビッグデータ以前に「マーケティング」そのものが不足しているのではないか、ということです。これは、最近一緒に本を書かせていただいた一橋大学の神岡太郎教授のお話をうかがいながら気づいたことでもあります。

 マーケティングとは企業と生活者が、市場を通じて相互にやりとりをしながら価値を創造していくことです。やりとりというのは必ずしも直接的な会話だけではない。企業からの商品そのものあるいはチャネルやコミュニケーションを通じた提案に対して生活者がどういう風に反応するのか。生活者の行動は、様々な形でデータという痕跡を残します。そういう意味で、データとは自社が生活者と向き合うための、広い意味での「言語」です。

 企業が顧客とのやりとりの中で価値提供をする、その基本的なツールが共通言語としての「データ」である。が、実際はそうなっていないのではないか。

 ビッグデータへの着目は、その改革の突破口になるのではないかと思うのです。ビッグデータがイシュー化することがきっかけとなって、データを核とした全社的、すなわち実効性のあるマーケティングが進むのではないか。そうあってほしい、というのが私の問題意識です。

ブレインパッド代表取締役社長。1972年東京都生まれ。97年慶応義塾大学大学院を修了後、サン・マイクロシステムズに入社。99年に退社後、インターネットプロバイダー関連事業の立ち上げに参画し法人営業と事業企画を担当する。プロバイダー事業に従事するうちに、「データマイニング&最適化」に特化した事業の起業を決意し、2004年ブレインパッドを設立。2011年東証マザーズに上場。

草野:同感です。私は、起業を考えて自分なりに状況を俯瞰したり、リサーチしたりした際に、マーケティング領域が最もデータを活用していないのではないか、と思いました。製造業などではデータに基づいて生産計画を立てるなど、ある程度データを活用する素地があるのに比べ、マーケティングの領域では、データと向き合って意思決定がなされているとは感じられなかったのです。

 しかし、ネットの普及により今後は間違いなく必要性が高まっていく分野であり、かつ先行する競合サービスがありません。また、マーケティング領域は成果の白黒もつけやすいため、評価が容易であるということもありました。マーケティングの施策に結びつきやすい領域であれば、我々の仕事の価値を定量的に認めていただくことができて、フィーをいただきやすいし、リピートもつきやすいのではないかと考えました。

ビッグデータは真のマーケティングを可能にする

興味深いですね。自分がマーケティング局に配属された80年代には多変量解析のマーケティングでの活用を中心に「マーケティングサイエンス」や「テクノロジーマーケティング」という言葉がはやっていて、「マーケティングと言えばデータ」という印象もあったのです。ただ、実感としては90年代半ばくらいから少し状況が変わっていったかなとも思います。草野さんはまさにその頃に仕事を始められたわけですが、具体的にどのあたりがどのように「手つかず」だと思われたのでしょうか?

草野:確かに調査などのデータは各種あったのでしょう。が、ユーザーの個々の行動履歴データを収集して、それを活用しているという様子はありませんでした。私が会社を始めた2004年当時、既にそれらは取ろうと思えばいくらでも取れる時代になっていたにもかかわらず、です。

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「ビッグデータを経営に生かすツボ」の著者

安藤 元博

安藤 元博(あんどう・もとひろ)

博報堂

1988年博報堂入社。主にマーケティングセクションに在籍し、企業の事業/商品開発、キャンペーン開発、グローバルブランディングに従事。2010年より、「統合マーケティング」のハブとなる組織を率いる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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