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韓国は、給食に国産食材を使えなくされた!?

「韓国の事例」をTPP議論の前提にするなら知ってほしいこと・給食編

2013年4月17日(水)

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「韓米FTAが韓国の経済・社会に悪影響をおよぼしている(だから、日本のTPP交渉参加に反対)」

 農業、医療、金融、サービス、知的財産権などなど、様々な分野において日本で広まっている誤解について、これを韓国政府の反論を紹介する形で解説してきました。

 担当編集のYさんに「長いです、難しいです、しかもパターンが同じです」と泣き言を言われながら、それでもすべての分野について解説し終わったと思っていたところ、最近、とあるマスコミの記者さんの取材を受けました。

「韓米FTAの発効によって、韓国では学校給食で国産の食材や、有機農法で栽培した食材を使えなくなると言われています。これは本当ですか?」

 給食関係の政策には、韓米FTAの影響がある分野ではないと認識していた筆者は、インターネットで「米韓FTA、給食」のキーワードで検索したところ、多くの記事がヒットして驚きました。記事の大半は、記者さんが指摘したように、「給食で国産食材や有機農法で栽培した食材を優先的に使用することを促す政策(これらは地方自治体の条例が根拠になります)が、韓米FTA違反になり条例の変更を余儀なくされる」といった内容でした。

 学校給食は国の将来を担う生徒が毎日食べるもの。食の安全を確保し、地元の食材を味わうことを、政策で促すことは重要です。これが韓米FTAによって脅かされたとすれば、「TPPによって日本でも同じことが起きるのでは?」と心配になってしまいます。しかし結論だけ先に述べると、韓米FTAは韓国の給食政策に何ら影響を与えておらず、日本が韓国の二の舞になるといった心配は無用です(これは後ほど詳しく説明します)。

FTAにまつわる誤解のパターン

 「また同じパターンじゃないか?」。Yさん、そして本連載をご愛読いただいている皆さんからは、このあたりで突っ込みが入りそうです。

 「条約文を読むと『なるほど、反対派が心配するのも分かるな』と思えるけれど、注釈や付属書などでちゃんと配慮済み、というオチだろう」「あるいは、別の条約ですでに義務づけられている話が、FTAのせいだと勘違いされているかだ」と。

 はい、実は今回もそのパターン(後者)です。

 「高安先生、そろそろ、どうしてこういった誤解が生まれるような条文になっているのか、について説明をお願いします」と、ついに担当編集者から要望が出てしまいました。次回からはFTA、TPPなどの国際条約の背景について、私の知見の限りでご説明していきたいと思っています。

 普通の会社や友人同士の約束事で考えると理解しにくい“常識”が、国際条約にはいくつも存在します。それが、ワンパターンでつまらない誤解の原因になっているのです。よく目にする「TPPの交渉内容を国民に公開できないのは、後ろ暗いことがあるからだろう」というのも、そんな誤解のひとつです。

 ということで、次回以降の連載では、

  1. FTA、TPPを初めとする国際交渉は、具体的にどのようになされていくのか(+関連団体の要望はどのように反映されていくのか)
  2. 韓米FTAの交渉に当たって、国内対策担当部門はどのようなことをしたのか
  3. 韓米FTAが発効してから1年経って、韓国の経済・社会に変化が表れているのか

 以上を中心に、日本のTPP交渉の参考にしやすい形で解説していきたいと考えています。

 前置きが長くなりましたが、今回のテーマ「給食」について、これまでと同様、まず条文から見ていきます。「給食で国産食材や有機農法で栽培した食材を優先的に使用することを促す政策が、韓米FTA違反になる」のでしょうか。

 2011年7月、当時最大野党であった韓国の民主党(※1)は、「韓米FTA再々協議案[10+2]」をまとめ、学校給食の食材を購入する時、国産品など安全な食材を優先できるように、再協議によりFTAの条項を変更すべきと主張しました。教育庁(※2)や地方自治体(以下、「地方政府」とします。)が講じる、国産食材の使用を促すための給食プログラムが、韓米FTAの政府調達にかかる義務に違反することを懸念したのです。

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「TPPを議論するための正しい韓米FTA講座」のバックナンバー

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「韓国は、給食に国産食材を使えなくされた!?」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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