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H&Mはなぜチリを選んだのか

ワインや銅だけじゃない。知られざる南米の巨人

2013年4月30日(火)

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 「+2days」。

 サンティアゴ発日本行きのフライトスケジュールにはこのように記載される。北米、欧州、オセアニアのどこを経由する航路でも、乗り継ぎを含めて24時間以上かかる。

 地理的には日本から最も遠い国の1つであるチリだが、二国間の経済関係は密接だ。チリワインのコストパフォーマンスの高さはすでに日本市場に浸透しているし、チリ産サーモンもいまやスーパーマーケットで普通に見かける商品となっている。投資では、銅資源確保のための大規模な鉱山投資が続き、2011年と2012年で計38億ドルと日本がダントツだ。

 しかし、チリはそれだけの国ではない。南米の小売り・流通市場を席巻する別の顔を紹介したい。

輸入車ブランドの数は56にのぼる

 チリは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の前身となるP4(*1)参加国で、自由貿易の推進国だ。自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)は世界60ヵ国以上と締結されており、このネットワークは世界のGDPの86%、人口の63%とつながっている。FTA等締結国との貿易額が占める割合は全体の9割を超える。

*1:P4とはチリ、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイによる環太平戦略的経済連携協定。2006年11月発効。

 日本とのEPAは2007年9月に発効しており、米国、EU、韓国、中国ともすでに協定を締結している。チリは一律関税率を適用しており、現行の関税率は6%だ。FTA・EPA締結国からの輸入にはさらに特恵関税が適用される。これはチリ市場のグローバル化を意味する。

 それを象徴しているのが多種多様な輸入車だろう。サンティアゴ市内では世界各国の輸入車が走っている。チリ自動車業者協会のウェブサイトにはチリ市場で販売されている自動車ブランドのロゴが掲載されているが、その数は実に56にのぼる。チリが南米における自動車ショールームとも呼ばれる所以だ。

自動車販売店には様々なメーカーの車種が並ぶ。左からトヨタ自動車の「アーバン・クルーザー」、BYD(中国)の「F0」、仏プジョー・シトロエン・グループの「208」

 2012年の自動車販売台数は33万8826台で過去最高を記録し、リーマンショックで落ち込んだ2009年(17万台)と比べると倍増。2013年1月も前年同月比22%増の3万3568台と好調だった。

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「H&Mはなぜチリを選んだのか」の著者

堀之内 貴治

堀之内 貴治(ほりのうち・たかはる)

ジェトロ・サンティアゴ事務所長

1995年ジェトロ入会。2001年から06年までマドリード駐在。海外調査部、進出企業支援・知的財産部などを経て、12年7月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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