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「チェルノブイリでは頭痛が消える」

終わらない廃炉と168の「死の街」

2013年4月25日(木)

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今年4月26日で事故から27年となるチェルノブイリ原子力発電所。人々の生活を脅かし続ける核汚染の現場にこのたび、記者が入った。崩壊寸前とも言われる4号炉を覆う「石棺」や新シェルター建設の現場を紹介。さらに周辺の汚染地帯を歩きながら、同様の原発事故が起きた福島の未来について考える。

 場所は再びチェルノブイリ原子力発電所4号炉付近。4号炉の300メートル前で、空間線量計の数字は4~6マイクロシーベルト/時をウロウロした。思ったよりは高くない線量だが、長居は危険だ。

 しかし、正直、石棺の前に立った時、恐怖はあまり感じなかった。おそらく、作業員が談笑しながら歩き回り、人間の活動の気配があるからかも知れない。私は防塵マスクやコートを覆うための雨合羽などを忍ばせていたが、そんなものを着ければ、バカにされそうな雰囲気なのだ。

 しかし、ふと通訳が、このように話しかけてきた時は少し驚いた。「過去、取材の同行で10回ほどこの場所に来ているが、決して嫌じゃない。私は(住んでいる)キエフではひどい頭痛持ちだけれど、石棺の前に来ると、すっと痛みが消えるの」

石棺の耐用年数はあと3年

4号炉を覆っている石棺

 私が撮影している近くには守衛詰め所があり、指定されたポイント以外を撮らないか、常に目を光らせている。素早く写真撮影とビデオ撮影を済ませた。

 帰国後、石棺の写真を拡大表示してみて、ぞっとした。コンクリートの至る所に隙間ができている。そこから汚染水らしきものが漏れ、壁にシミをつくっている。

石棺の写真を拡大してみると、至る所に隙間ができていた

 側面の壁はこれ以上、崩壊しないように鉄骨で押さえられている。壁に沿って、保守管理用通路が延び、カメラやセンサーも見える。肉眼ではよく分からなかった崩壊寸前の石棺の現状を、写真は雄弁に語っていた。

 後日談がある。ウクライナに滞在中は知らなかった事実だが、私がチェルノブイリ原発を訪れた翌日、石棺の天井が600平方メートルに渡って大崩落。作業員80人が避難する騒ぎになったのだ。

 当局は「雪の重みのせい」と説明するが、私が見た限り、石棺の屋根の積雪量はさほどではなかったように思う。それだけ、石棺の耐用限度が限界にきているということなのだろう。事実、石棺の耐用年数は30年とされ、あと3年後に迫っている。

 ウクライナ政府は新たなシェルターの建設を進めている。新シェルターはチタン製のアーチ状。高さ108メートル、長さ150メートル、幅257メートルの巨大なものだ。石棺から300メートルほど離れたところで組み立てられ、完成後、レールで横滑りさせて石棺を覆う。

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「「チェルノブイリでは頭痛が消える」」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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