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電気料金値上げにいかに歯止めをかけるか

スマートグリッドの成功に必要な「新しい市場価値」と「パッケージ化」

2013年5月8日(水)

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電気料金値上げが避けられなくなった

 原子力発電所の停止により火力発電用の燃料費が大幅に増加しているため、5月1日から関西電力と九州電力は、電気料金を各々平均9.75%、6.23%値上げした。ほかの電力会社も同様の状況で、東京電力が昨年9月に値上げしたほか、北海道電力、東北電力、四国電力も政府に値上げを申請している。また、4月30日に発表された電力10社の業績を見ると、北陸電力、沖縄電力を除く8社が最終赤字となった。

 電力会社の業績が好転する兆しは残念ながら見られない。原発の再稼働のメドが立たず、円安によって天然ガスの輸入価格が上昇傾向にあるためである。ただ、電力業界の赤字を埋めるために電気料金を際限なく上げることも政治的に許されない。原子力・安全保安院の改組と同時に政府の電気料金値上げ査定が厳しくなったため、電力会社は必死に燃料費の削減努力を行っている。

 ただ、燃料費削減など電力供給側のコスト削減努力にも限界がある。そうであれば、電力の供給側と需要側が協力して従来までの発想と異なる省エネ努力をするしかない。ここで重要なことは、両者が協力して「新しい市場価値」を創造することと、「商品のパッケージ化」である。

 これら2つの概念は、マイケル・ポーター米ハーバード大学教授が唱えた「バリュー・チェーン」と関連している。この概念は、企業活動のうち、購買物流、製造、物流、マーケティング、販売、サービスなどの各プロセスにおいて付加価値を積み上げていく状況を分析するものである。バリユー・チェーンはもともと1つの企業内部の効率性向上と競合他社との差別化を実現するために利用される理論であったが、スマートグリッド分析の場合、一企業で完結するのではなく、パートナー企業と提携した形でのバリュー・チェーンを作ることが重要となる。

「スマートグリッド」が電力の供給と需要の距離を縮める

 電力の供給側と需要側を効率的に結び付けるのは、新しいビジネスである。米国人はまだ形がないビジネスをコンセプト化することが得意で、新ビジネスを「スマートグリッド」と名付けている。

 スマートグリッドとは、電力ネットワークを、インターネットの通信方式をヒントにして電力の需給関係を効率的にマネジメントする仕組みである。電力は送電中に熱が出てエネルギー・ロスが出るし、停電を出さないよう真夏のピーク時に対応できる余分な発電能力を備えておかなければならない。どうしても非効率になってしまうのだ。

 この非効率性の改善が期待されるスマートグリッドの「グリッド」とは送配電網を意味し、「電力版インターネット」と呼ぶことができる。インターネットは情報の出し手と受け手を即時につなぎ合わせ、情報の流れを効率的にする。網の目状のネットワークを相互接続する通信機器としてルーターがあるが、この仕組みがエネルギーの供給と需要の接続に応用されるのだ。

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「電気料金値上げにいかに歯止めをかけるか」の著者

尾崎 弘之

尾崎 弘之(おざき・ひろゆき)

東京工科大学教授

野村證券、ゴールドマン・サックス、ベンチャー企業役員などを経て、現在、東京工科大学教授。環境ビジネスの調査を継続。環境省委員、TBS系テレビに毎週金曜日の早朝出演中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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