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ファッション界から「近大マグロ」は生まれない

ビジネスに結びつかない産学連携

2013年5月22日(水)

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 4月26日にグランドオープンした大阪・梅田の大型商業施設「グランフロント大阪」には、大学や企業のショールーム的役割を果たす「ナレッジキャピタル」が入居している。その中の1つに近畿大学とアーマリン近大、サントリーグループ、和歌山県が連携した養殖魚レストランがある。近畿大学が養殖に成功したクロマグロがこの店の目玉だ。

 通常「産学連携」と言うと、上記のような取り組みを思い浮かべることが多い。研究機関が開発した商品や商材を使って、一般企業が量産化ビジネスに結びつけるという構図だ。

 繊維・ファッションの業界でも近年、産学連携への模索が続いている。ところが、繊維・ファッションの産学連携では、本格的なビジネスに結び付くケースがほとんどない。

 ファッション専門学校と繊維・アパレル企業との産学連携の場合、そのほとんどは「学生がブランドや企業にデザイン画を提供する」「学生が独自に製作した作品(企業からは生地提供や製作アドバイスをもらう)でファッションショーを行う」「学生が実際にブランドショップで販売員として期間限定で店頭に立つ」というような事例に終始している。平たく言えば学生のマンパワーで解決できる事例しかない。

資金力に乏しいファッション専門学校

 近大マグロの例にならうのであれば、学生が企画したブランドを企業と共同で具現化して実際のショップ出店や大規模な卸売りに結びつけるような取り組みが理想だろう。そうした取り組みが生まれないのはなぜか。最大の理由は専門学校に近大のような資金力がないからだろう。

 筆者の母校である関西大学のサイトによると、2012年5月1日現在で全学部(大学院などを含まない)の生徒数は2万8071人とある。1人あたりの年間授業料がざっと100万円だと仮定すると、関西大学には年間約280億円の収入があることになる。利益は別として年商280億円の企業と考えると、世間的に考えてもそれなりの規模である。こと繊維・アパレル業界で考えるなら立派な中堅企業といえる。ちなみに、近畿大学の全学部(大学院などを除く)の学生数は、サイトによると2012年5月1日現在で3万941人である。

 かたやファッション専門学校の生徒数はかなり少ない。以前、大阪の某専門学校理事長が「全国のファッション専門学校に通う総生徒数は現在、1万2000人ほど」と発言したことを紹介したが、それぐらいしかいないのだ。

 10数年前には2万3000人だったということだが、大学と比べるともともとの進学者数が少ない。大阪府内で見てみると、最大の生徒数を抱えると言われるファッション専門学校の生徒数が約900人、それに次ぐ学校が700人弱だ。この2校が図抜けた生徒数を抱える。あとは200人規模、150人規模が1校ずつ、それ以外は10人~数十人規模と言われている。きちんとした生徒数をお伝えできないのは、各学校が生徒数を公表していないためだ。

 仮に1人あたりの年間授業料が100万円だとすると、900人の学校だと年商は9億円にしかならない。700人の学校なら7億円、20人の学校なら2000万円という具合になる。これは世間的に見れば、中小・零細企業とよばれる企業規模である。これでは学生が開発したブランドを商業ベースに乗せる取り組みなどできるはずがない。資金力が弱すぎるのである。

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「ファッション界から「近大マグロ」は生まれない」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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