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「和室」と「キッチン」で患者は元気になる

北九州の芳野病院が目指す本当の「退院」とは

2013年6月6日(木)

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 今回は北九州市若松区にある医療法人寿芳会芳野病院を紹介する。北九州市には小倉記念病院、産業医科大学病院、北九州市立病院といった大型の急性期病院が数多くある。芳野病院は北九州市の中心部から外れ、高齢化が進んでいる地域にある中規模病院だ。

 診療報酬の引き下げや医師・看護師の不足など、地方の病院を取り巻く環境は厳しい。とりわけ中小の病院はそうだ。大型の病院は、最先端の設備を導入し、高度な専門治療を施せる急性期病院にシフトすることで向上心や使命感にあふれる医師や看護師を引き寄せるなど、経営を改革していった。

 一方、中小の病院は、多くの診療科がなければ複数の病気を抱える高齢者に来てもらうことができず、苦しい経営を強いられているところも多い。国は中小の病院を、大型の中核病院や地域の診療所と連携しながら回復期にある患者のリハビリを助け、在宅医療につなげる施設にすることを目指している。

 芳野病院は、国による病院の機能分化という医療制度改革に先行して、10年前から自らを亜急性期病院と位置づけ、高齢化が進行している地域で必要な患者数を確保するために、サービスの内容や施設・設備を改革してきた。同時に看護師や理学療法士、作業療法士といった専門スタッフの不足を解消するために、職場環境の整備を進めてきた。

急性期病院と在宅医療をつなぐ存在に

 芳野病院は1913年に、芳野医院として開業した。その後、日本が高度成長期に入ると、現在の芳野病院がある地域も大工業地帯となり、多くの工場労働者が周辺に引っ越してきた。初代院長の芳野三郎氏の跡を継いだ芳野敏章氏は、人口の流入に合わせて産婦人科を設けたり、病床数を増やしたりするなどして、診療体制を強化した。敏章氏は欧州や米国への視察調査を積極的に進め、その日本ではその重要性が十分に認識されていなかった1972年に、リハビリテーション部門を新設した。

 1990年には、3代目の院長となる芳野元氏が副院長として病院に戻った。元氏も積極的に職員を米国やヨーロッパに職員を研修派遣した。1997年に元氏が院長に就任すると、すぐに施設の増強に着手。2002年にはリハビリテーション部門の強化を始め、2003年には理学療法室、作業療法室、言語療法室を持つリハビリテーションセンターを完成させた。

 2007年には病院経営の目標を「医療環境変化への対応」とし、ここまで進めてきた急性期病院から在宅医療への橋渡しをするという役割をさらに明確にした。この時期、多くの病院は急性期病院を目指す改革を進めていた。芳野病院が社会全体の流れと異なる方向に向かったのはいくつかの理由があった。

 第1に、芳野病院がある北九州市若松区の高齢化が特に早く進行していたことだ。北九州市の高齢化率はそもそも全国の政令市で最も高く、25%に達している。中でも芳野病院に来院する患者が多く住む若松区東部だけを見ると、高齢化率は30%を超えているという。これは若松区が長く北九州市の工場地帯のベッドタウンとしての役割を持ち、高度成長期に周辺の工場で働いていた人たちが住み続けているだめだ。

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「「和室」と「キッチン」で患者は元気になる」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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