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アベノミクスをコケさせない処方箋

「電力システム改革」巡る違和感

  • 竹内 純子

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2013年6月19日(水)

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 アベノミクスの3本の矢、その最後の1本である「成長戦略」を成功させるには、何が必要か。人によって意見は様々だろうが、私は「安定的かつ安価な電力」を挙げたい。政権もそれを意識してか、4月2日「電力システムに関する改革方針」を閣議決定し、電気事業法の改正に乗り出そうとしている。

 そもそも電力システム改革とは何か。何のために何をするのだろう。分かっているようで、実は分かっていないことが多い。競争を導入することで、今まで総括原価主義というぬるま湯に浸かっていたけしからん電力業界に活を入れ、電気料金を下げる。再生可能エネルギーの導入も活発になり、電力の「地産地消」も進む。スマートメーター(次世代電力量計)の導入など、未来社会にふさわしい電力システムへの変革を促し、新しい産業の雇用も生む。こう聞くとバラ色だが、きれいなバラには刺があり、おいしい話には落とし穴があるのが世の常だ。

 この閣議決定のベースとなった、経済産業省・資源エネルギー庁の「電力システム改革専門委員会」の議論を約1年にわたって見続けてきたが、理屈の上では納得できても実現性に疑問を感じたり、手段が目的化しているように感じたりすることがしばしばあった。改めてここで、この委員会での議論に感じた「違和感」をまとめ、アベノミクスがこけずに済む電力システム改革への提言としたい。

電力改革への過大な期待に違和感

竹内純子(たけうち すみこ)
NPO法人 国際環境経済研究所 理事・主席研究員
慶応義塾大学法学部法律学科卒業。1994年東京電力入社。2012年より現職。一般社団法人フォレストック協会コーディネーター。群馬県片品村「尾瀬の郷親善大使」。水芭蕉で有名な国立公園「尾瀬」の自然保護に10年以上携わり、農林水産省生物多様性戦略検討会委員や21世紀東通村環境デザイン検討委員などを歴任。その後、地球温暖化の国際交渉や環境・エネルギー政策への提言活動などに関与し、国連の気候変動枠組み条約交渉にも参加。自然保護からエネルギー問題まで、幅広く環境問題や環境に関わる企業の取り組みをサポートする活動、提言を行なっている。著書に「みんなの自然をみんなで守る20のヒント」(山と渓谷社)

 この委員会が組織されたのは、民主党政権時代の2012年2月。その目的は、「東日本大震災によって明らかになった大規模集中型の電力システムの脆弱性を克服するため」とされる。

 確かに東日本大震災の直後、東北・東京電力管内の電力供給は危機的状況に陥った。計画停電は「停電を知らない私たち」に大きな衝撃を与えた。しかしこれはシステムの問題だったのだろうか。

 東京電力は福島第一原子力発電所の事故ばかりが報道されたが、実は太平洋岸や東京湾岸の火力発電所をはじめ、内陸の水力発電所も被災し、合計2100万kW、約3分の1もの発電能力を失ったのだ。システムの問題以前に、そもそも「電気の工場」とも呼べる発電所を失ったことが計画停電の原因なのだ。

 こうした電力の需給バランスが大きく崩れた時、その制約の中で可能な限り安定供給を確保し、広域停電を未然に防止するための手段として、海外ではしばしば計画停電が行われている。日本では戦後初めてだったが、震災の1カ月前には米テキサス州で、同じ年の夏には韓国でも実施されている。東日本大震災が残した教訓は生かすべきで、これを踏まえて電力システムを改革していくことに異論はないが、どのような問題がなぜ生じたのかをきちんと認識しなければ、議論のスタート地点を見誤る。

コメント5件コメント/レビュー

「小売事業者にその需要の1割の予備力確保を義務付ける」とありますが、まさか太陽光発電の予備に太陽光と云うことは無いのでしょうね?そりゃ直ぐに確実に代替できるはずの火力ですよね。でも慣れない火力を扱えるのか心配です。工場の発電機って肝心な時に回らないもんで・・・。ところで予備力は今の買取り金額の中で確保させるんですよね?自由化だから買取りも無くなって勝手に上乗せ?すると高くなる?いやはや思ったようにはならないもんですねぇ。これだけ分かり易く「電力システム改革」を批判しても「・・・改革」が止まらないのは何故でしょうか?(2013/06/19)

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「小売事業者にその需要の1割の予備力確保を義務付ける」とありますが、まさか太陽光発電の予備に太陽光と云うことは無いのでしょうね?そりゃ直ぐに確実に代替できるはずの火力ですよね。でも慣れない火力を扱えるのか心配です。工場の発電機って肝心な時に回らないもんで・・・。ところで予備力は今の買取り金額の中で確保させるんですよね?自由化だから買取りも無くなって勝手に上乗せ?すると高くなる?いやはや思ったようにはならないもんですねぇ。これだけ分かり易く「電力システム改革」を批判しても「・・・改革」が止まらないのは何故でしょうか?(2013/06/19)

すばらしい記事です。普通に考えれば大規模に発電し大量に燃料購入する方が安くなりますよね?小規模・小口購入の方が割高のはず。それなのに新規発電業者が参入するのは設備を最高効率で運転できるからです。現在の新規参入発電業者は基本的に計画発電しているのでロスが少ない。予備力も停止できるので効率的です。だから安価に発電できます。つまり最初から優遇された出来レースなのです。本当に自由化したら新規業者など参入できませんよ。(2013/06/19)

表層だけの報道に惑わされず、この記事などで真実と事実を把握して、国民一人一人が「これからの日本、これからの世界」をどうしていきたいのか? しっかり考えることが大切だと思いました。考える機会を頂けた、よい記事でした。@ビジネス・パンダ(2013/06/19)

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