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「東大卒業」に価値はなくなる

藤原和博×税所篤快対談「最高の授業」を時空を超えて提供したい

2013年6月24日(月)

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 途上国の貧しい学生にも教育の機会を提供しようと、2010年から映像を使って授業を行う「e-Education」プロジェクトを手掛けてきた「アツ」こと早稲田大学の学生、税所篤快さん。

 前回に続いて、2011年以降、税所さんの活動を支援してきた「メンター」の1人、元リクルートフェローで元杉並区立和田中学校校長の藤原和博さんとの対談をお送りする。第2回となる今回は、e-Educationが暗示する教育界の未来について熱く語り合った。

藤原:バングラデシュでスタートしたe-Educationは、国によって、どんどん形を変えてきたよね。大学受験向けのコンテンツから不登校の生徒向けの学習コンテンツ、学習障害の子供への指導法、差別問題を抱える民族の共生教育の方法。こういう方向に転化できるというのは、僕もすごく勉強になった。

 ここからは、もうちょっと本質的な話をしたいと思うんだけど……。

税所:はい。何でしょう。

藤原:あなたたちの活動ね。e-Educationという名前がついている。これって、「名は体を表す」になっているのかな。例えば、パレスチナ自治区・ガザ地区での活動や新たに立ち上げたハンガリー・ロマ共生教育改革ってe-Educationなんだろうか。

税所:確かにDVDやビデオ会議システムを活用した映像授業をしているけれど……。教育をする時に最適な方法を選んだ時、たまたまDVDだったり、ビデオ会議システムだったり、インターネットでの動画アップだったりということで、あえて「e」はつけなくてもよいのかもしれません。巡り巡って教育そのものと言えるのかも。

藤原:そう。DVDを使う、ビデオ会議システムを使う、インターネットに動画をアップするというのは手段に過ぎないのだけど、その手段を、団体の名前に使っている。でも、やっていることは、すごく本質的な教育そのものだよ。

 あなたが最初にバングラデシュでやったのは、貧しい地域で教育を受ける機会がない生徒たちに向けて、優秀な教師の授業風景を撮影し、収録したDVDを使って授業を行うというものだよね。日本の一部の予備校が行っているのと同じスタイルです。試してみたら、すごく良い結果が出た。これは確かにe-Educationだよね。でも、学習障害の子供への指導法を教えるとか、ロマ人との共生教育の方法を教えるとか、それはバングラデシュでやっていたモデルとは全然違う。

 「このコンテンツを教育するために最も優れた人は誰なのか」を探し出して、それを一番良い方法で伝えようとしている。「本当の教育とは何か」に踏み込んでいるのが、あなたたちの活動です。

 そう振り返ってみると次に問われるのは何だと思う?

 「なぜこれを日本でやらないのか」ですよ。そもそも、日本では本当の教育が行われているのだろうか。どう思う?

税所:本当の教育……?どういうことでしょうか。

教え方が上手なら、生の授業よりDVDの方が良い

藤原:今、言ったような、「あるコンテンツを教育するために最も優れた人」が教育をしているかということです。

 例えば、小学校に通う子供たちが、勉強で一番つまづくのは算数の分数です。リンゴが2つ、3つ、と考えているうちは目の前に起き得るリアルな数字だから良いけど、3/4だの2/5だのというのは現実にはあり得ない数字。「0.3+2/5」ってどういうことなのか。本来であればここから、抽象概念を覚え、論理思考が育っていくのだけど、現実にはなかなか理解するのが難しい。

 おそらく、日本中を探せば、分数の問題を非常に上手に教えている先生がいるはずです。もしかしたら、その先生の授業をDVDで受けた方が、下手な先生の授業を生で受けるよりも効果があるかもしれない。

 あなたたちの取り組みは、その命題に、答えを出しつつあるんだよ。

税所:確かに、僕も高校で受ける授業は面白くないけど、予備校のDVDの授業の方が面白かった。それがe-Educationの活動を始める際の原体験となっています。

「“ドラゴン桜” 早大生 それなら俺が変えてやる! 第3幕」のバックナンバー

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「「東大卒業」に価値はなくなる」の著者

税所 篤快

税所 篤快(さいしょ・あつよし)

「e-Education」創業者

NGO「e-Education」創業者。1989年、東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、英ロンドン大学教育研究所(IOE)修士課程に在籍。同NGOは映像授業を活用しバングラデシュなど17カ国で教育支援を実施している

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

藤原 和博

藤原 和博(ふじはら・かずひろ)

教育改革実践家

リクルートの敏腕営業担当から、都内で初めての民間出身の公立中学校の校長に転じた。斬新な手法で地域を挙げての教育体制を整え、校長退職後は全国にその手法を伝えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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