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国際化に背を向ける、亡国の会計鎖国論争

海外投資家を遠ざける「有言不実行」

2013年7月5日(金)

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 「チャレンジ、オープン、イノベーション」を掲げたアベノミクスの成長戦略の実行に向けて、安倍晋三首相は9月の臨時国会で具体的な法案を提出する方針を示した。産業競争力強化法案(仮称)などを国会に出すほか、税制改革にも前倒しで取り組むとしている。

 6月14日に閣議決定した成長戦略が株式市場の失望を招いた反省から、さらなる「大玉」を秋に向けて盛り込む姿勢を強調している。強い口調で改革方針を明言している安倍首相だが、市場の期待を取り戻せるかどうかは、具体的な政策が発言の方向性と一致しているかどうか、つまりは言葉通り実行できるかにかかっている。もっとも、個別の政策が具体化すればするほど、抵抗勢力が頭をもたげてくる。そんな動きがすでに表面化している。

IFRS対応は「国際的な詐欺行為」

 「これは国際的な詐欺行為ではないか」

 金融庁の企業会計審議会がまとめた、日本の上場企業が使う会計基準のあり方の方針について、審議会委員のひとりは吐き捨てるように言う。同審議会が6月19日にまとめた「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」には、「単一で高品質な国際基準を策定するという目標に日本がコミットしていることを改めて確認した」と書かれている。

 国際的に進んでいる会計基準の統一作業に、日本も歩調を合わせていくとしており、安倍首相の「オープン」戦略とも方向性は合致する。ルールや規制を国際標準に合わせ、世界で最もビジネスがしやすい国に日本を脱皮させるというのが、アベノミクスの基本姿勢だ。

 G8サミット(主要国首脳会議)で英国を訪れた安倍首相は講演でも、日本の変革に向けた覚悟を示し、日本への投資を呼びかけた。外国からの投資を促進するうえでも、外国人から見て理解できる「国際標準」のルールに揃えることが重要であるのは言うまでもない。ましてや株式投資の対象である企業を測るモノサシである会計基準が日本独自の「ガラパゴス」基準では話にならない。

 だが、冒頭の委員が怒るのは、高らかに宣言している前段の方針に続いて盛り込まれた具体的な施策が、あまりにも国際的な常識からかけ離れたものだからだった。IFRSを使うと言いながら、一部の基準を適用除外にした日本版IFRSを新たに作るという方針が示されているのだ。

 長年IFRSの導入に慎重姿勢だった経団連が提言として打ち出したもので、ご丁寧にも「J-IFRS」という略称まで生み出されている。これで「日本もIFRSを採用しています」と主張しようというのである。

コメント8件コメント/レビュー

現役時代コンサルタントをやっていて、多くの会社でユーザのお話を聞いた。所謂「要件確認」である。殆どの会社が、「我が社の仕組みは長年の経験を活かした、非常にユニークな仕組みになっていて、このポイントは譲れない要件である!」と主張された。私の扱っていたシステムは、標準的な使い方の他に、ユーザ会社毎に固有の設定が出来たので、特異な要件があれば、其れ等を作り込んでいた。その分割高になる事は事前に説明しているが、「譲れない」要件なので追加した。この「拘り」というのは客観的に見れば「標準と大差ない」のであるが、当事者達は「全然違う!」と思っているので、致し方ない。そうやって弄くり回したシステムも基本が世界的に使われていたシステムである為、会社経営者達は「我が社のシステムも国際的な物になった!」と満足したのである。この記事を読んでつい昔の事を思い出したが、日本は国全体が本気で「国際化」する気が無いのではないか、と言う思いは今になっても変わらない。あれから10年経つが、日本の国際化は全く進歩していない。こんな調子でTPP締結して大丈夫か、と心配だ。何かと言えば「固有要件」を自慢話の様に繰り返している。いっその事、このままの状態でTPPを締結し、国内の産業をぐちゃぐちゃにしてからで無いと真の国際化を推進する事は出来ないだろう。「独自要件」を振り回す人は、それが自分を必要とする要件だと信じているので手放したくないのだ。言い方を変えるならば、これも一種の「利権」争いなのだ。外国人に比べて、表立っては「利己」をしたがらない日本人だが、利権の防衛に関しては「外国人もびっくり」な状況なのだ。既存の国際ルールであっても、日本がどんな改革をしても対応し切れない規則であれば特例を認めさせる必要もあるかも知れないが、該当部分を切り捨ててしまうと言う選択肢も考えた方が良い。1の損を守る為に5の得を交換条件に出されて飲んでしまうのが、今までの日本政府の対応に有り勝ちだった事を思うと、「切り捨て」さえも考慮に入れて、日本全体がどうすれば成長を維持し易いのか、とっくり考えるべき時に来ている。(2013/07/06)

「磯山友幸の「政策ウラ読み」」のバックナンバー

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「国際化に背を向ける、亡国の会計鎖国論争」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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現役時代コンサルタントをやっていて、多くの会社でユーザのお話を聞いた。所謂「要件確認」である。殆どの会社が、「我が社の仕組みは長年の経験を活かした、非常にユニークな仕組みになっていて、このポイントは譲れない要件である!」と主張された。私の扱っていたシステムは、標準的な使い方の他に、ユーザ会社毎に固有の設定が出来たので、特異な要件があれば、其れ等を作り込んでいた。その分割高になる事は事前に説明しているが、「譲れない」要件なので追加した。この「拘り」というのは客観的に見れば「標準と大差ない」のであるが、当事者達は「全然違う!」と思っているので、致し方ない。そうやって弄くり回したシステムも基本が世界的に使われていたシステムである為、会社経営者達は「我が社のシステムも国際的な物になった!」と満足したのである。この記事を読んでつい昔の事を思い出したが、日本は国全体が本気で「国際化」する気が無いのではないか、と言う思いは今になっても変わらない。あれから10年経つが、日本の国際化は全く進歩していない。こんな調子でTPP締結して大丈夫か、と心配だ。何かと言えば「固有要件」を自慢話の様に繰り返している。いっその事、このままの状態でTPPを締結し、国内の産業をぐちゃぐちゃにしてからで無いと真の国際化を推進する事は出来ないだろう。「独自要件」を振り回す人は、それが自分を必要とする要件だと信じているので手放したくないのだ。言い方を変えるならば、これも一種の「利権」争いなのだ。外国人に比べて、表立っては「利己」をしたがらない日本人だが、利権の防衛に関しては「外国人もびっくり」な状況なのだ。既存の国際ルールであっても、日本がどんな改革をしても対応し切れない規則であれば特例を認めさせる必要もあるかも知れないが、該当部分を切り捨ててしまうと言う選択肢も考えた方が良い。1の損を守る為に5の得を交換条件に出されて飲んでしまうのが、今までの日本政府の対応に有り勝ちだった事を思うと、「切り捨て」さえも考慮に入れて、日本全体がどうすれば成長を維持し易いのか、とっくり考えるべき時に来ている。(2013/07/06)

IFRSの種類が4種になったという記事は他の専門誌でも取り上げられる位話題になっていますが、会計に疎い素人目線からみれば、J-IFRSと日本基準の違いもよくわかりませんし、同じ日本国内で細かな意見の違い?で対立していることそのものが意味不明。4種の会計基準の違いを一覧表にされた方が、読者としてもどの基準が一番フェアなのか比較しやすいのではないでしょうか…。(2013/07/06)

どのような基準を用いようと会計の基本は変わりません。しかしながら色々な形で歪んで見えるように会計ルール自体を変更しようとする人々がいます。日本は日本のルール(政府が単式簿記であるとかアホな点を抜けば一般的に諸外国から比べても厳格であると思います)で運用できていますから、敢えて海外に合わす必要もないでしょうしその方が海外の方たちも安心できると思いますよ。グローバルとか意味のわからない事を言う前に、「私たちはこのように会計を行っています」と明らかにし、それを広く知ってもらうことこそがグローバル化では?(2013/07/05)

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