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高く分厚い「50代の壁」

専門スキルを生かし派遣社員として働く

2013年7月19日(金)

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 都内で開かれたある勉強会。大企業の人事部門で働く40~50代の社員たちが、65歳までの雇用延長に会社としてどう対応しているのかを話し合っていた。

 「社外への転進を促進するキャリア支援に力を注いでいますが、研修に参加してもらっている中高年社員の態度がとにかく悪いんです。腕組みをしたままずっと目をつむっている、仕事の書類を広げて読む、途中退席して職場に行ったまま戻ってこない…」

 「うちも一緒だよ」という合いの手に、参加者から笑いが上がった。その直後、ファシリテーターが話題を変えた。

 「では今度は、みなさん自身が今後のキャリアをどう考えているのかをお話しください。まず、60歳以降も働きたいという方は手を挙げてください」

 20人ほどの参加者は、1人を除き全員が手を挙げた。だが、具体的なプランを持っている人はほとんどいなかった。

 「会社に残っても給与は半減です。できれば外に出たいですが、自分の市場価値を過大評価できるほど世間知らずではありませんから…」。40代後半の男性は苦笑いを浮かべながら、こう言って発言を締めくくった。「(継続雇用の)制度を作りながら、自分で自分の首を絞めるとは正にこのことだと感じていました」。再び会場にわき上がったのは、先ほどよりもさらに苦い笑いだった。

 年金受給の年齢を65歳に引き上げ、その代わりに65歳まで働けるようにする。4月から始まった雇用延長の新制度は、老後の生活不安を和らげるどころか、多くの会社員にとって、この先に待ち受ける闇の深さを気づかせる働きをしたようだ。

年金の受給開始が65歳になる「逃げ切れない世代」

 昭和36年生まれ、今年52歳になる男性は、年金の受給開始が65歳になる最初の世代。年金給付額の減少にも直面する「逃げ切れない世代」がここから始まる。

 52歳といえば、その多くは会社における昇進の最終ゴール地点がもう見えてしまっている。役員レースに参加している一握りを除けば、役職定年が目の前にちらつき始め、社内でのキャリアのピークを過ぎたと感じる頃だ。給与は既に減り始めているか、そうでないとしても、数年のうちに間違いなく減っていく。

 一方で、家計の支出は多い。バブル崩壊後の1990年代前半に購入した住宅は、今と比べるとかなりの高値で、住宅ローン金利もまだ高かった。この世代の男性が第一子を持つ年齢は平均30歳。教育費はいまピークを迎えている。

 この苦しい時期を乗り切り、退職金を無事手にして60歳までに老後資金3000万円を用意したとしよう。以前なら、これで老後の生活は一応の目処がついた。だが、逃げ切れない世代の場合、60歳以降に無収入になり貯蓄と公的年金を取り崩すだけだと、預金残高は77歳でゼロになる(年間支出360万円として。「日経マネー」の試算)。現在52歳の男性の平均余命は29.59年。つまり、平均して81~82歳までは長生きする。である以上、60歳を過ぎても、なるべく長く働き続けなければならないのだ。

コメント7件コメント/レビュー

少子化が大きな問題となっている今、女性と中高年の活用は必須です。しかし、現実は、女性は出産による社会復帰の問題、中高年は人件費節約のため早期退職の対象となっています。65歳まで就労可能とは言っても、どのような仕事が待っているか不安です。60歳代の方が、社会から必要とされ、社会へ納税等で貢献できる具体的な方法を見つけるためのヒントをいただけるこのような記事は、大変意味があります。(2013/07/19)

「50歳からの転進大図鑑 逃げ切れない世代の戦い」のバックナンバー

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「高く分厚い「50代の壁」」の著者

三橋 英之

三橋 英之(みつはし・ひでゆき)

日経トップリーダー事業開発部長

1988年一橋大学卒業、日経BP社入社。日経ビジネスで自動車、電機、流通などを担当。日経ビジネスアソシエ副編集長、日経レストラン編集長を経て、2012年9月から現職。日本の食と食文化を海外に伝える各種プロジェクトを企画・実施する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

少子化が大きな問題となっている今、女性と中高年の活用は必須です。しかし、現実は、女性は出産による社会復帰の問題、中高年は人件費節約のため早期退職の対象となっています。65歳まで就労可能とは言っても、どのような仕事が待っているか不安です。60歳代の方が、社会から必要とされ、社会へ納税等で貢献できる具体的な方法を見つけるためのヒントをいただけるこのような記事は、大変意味があります。(2013/07/19)

このコラムの中高年の意識は良く解ります。端から見ればそれまでに努力をして来なかった本人に問題があるとも見えるが、それより組織や日本の悪き慣習の責任の方が重大だと思う。会社に忠誠を尽くす事を強く求めていたにも係らず、突然梯子を外し外に放り出され途方に暮れるしかない社員を作り上げた責任は重い。このような状況を作り出したのはグローバル化とは掛け声ばかりで真の対応をしていない組織であり、企業であると思っている。失われた○○年と言っているだけで何も対策が無かった事とダブって見える。コラム中にもあるが未だ終身雇用を色濃く残す日本企業では在籍年数イコール年齢が組織構成の大きなファクタであり、結果、中途採用には消極的で人材の流動性は非常に乏しい。また、役職イコールその会社の在籍期間であり年長者だけでは無く若い社員もそれが能力だと勘違いしチャレンジもしない、また会社も上辺だけの組織改革や研修などでお茶を濁し、グローバル競争力などの本質は改善されていない。グローバル化を叫びながら日本組織の意識は30年前と全く変わっていない。日本が衰退するはずです。(2013/07/19)

自分は、なんとか中小企業に居場所を見つけました。みんな頑張れ!(2013/07/19)

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