• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

航空業界の地殻変動招くANAの新LCC

「リゾート特化LCC」が与えた余波とは

2013年8月7日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 アジア最大のLCC(格安航空会社)グループ、エアアジアとANAホールディングスが組んで立ち上げたエアアジア・ジャパン。6月、ANAホールディングスはエアアジアとの提携解消を発表し、7月30日に100%子会社のエアアジア・ジャパンを引き継ぐ新たなLCCについて説明した。
 新LCCは12月下旬から就航を始める。成田空港と中部国際空港を拠点とし、国際線と国内線で観光路線を就航させる計画だ。会社名は8月中旬、路線や運賃など詳細は9月下旬に発表する。
 エアアジア・ジャパンが成田へ就航したのは2012年8月1日。だが就航1周年を待たずして合弁を解消した。客室乗務員のエキゾチックなメイクが特徴的な、セクシー系LCCはわずか1年強で、姿を消すことになる。
 体制を刷新したためか、はたまた最後の夏を迎えるからか、8月2日に航空各社が発表したお盆期間中の予約率を見ると、エアアジア・ジャパンは国内線83.0%、国際線73.0%と、50%台を記録したゴールデンウィークと比べて好調だ。

LCCでハワイへ

 「傷が浅いうちでよかった」
 エアアジア・ジャパンの合弁解消について、あるANAホールディングス幹部は胸をなで下ろしてこう語った。全日本空輸(ANA)はエアアジア・ジャパン失敗の原因を、日本のマーケットに合った売り方ができなかったことや、ウェブサイト改善にエアアジア側が消極的だったことにあると分析している。対するエアアジアグループのトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)は、ANA側のコスト管理の不十分さを指摘。事業を継続しても、両社の関係が悪化することは目に見えていた。

 後継となる新LCCは、国内線よりも客単価が高い国際線を重視する。国際線の就航先はグアムや台湾、韓国を想定している。機材はエアアジア・ジャパンと同じ180席クラスのエアバスA320型機で、新たに2機をリースで調達し、2014年3月末には5機体制にする。当面はA320の運航距離である、片道4時間程度の就航地に限られるが、将来は大型の機材を導入し、ハワイ路線への参入も検討している。

 LCCビジネスにおいて重要視されているのが、単一機材を使うことだ。単一機材を使えば、整備や人材育成のコストを抑えられ、その分収益性を高められる。だが一方で、ANAのかつてのパートナーであるエアアジアグループの中にも、この事業モデルに当てはまらないケースはある。例えば、中長距離国際線を飛ばすエアアジアX。同社は座席数377席のエアバスA330‐300などを運航し、短距離と中長距離で機材を使い分けている。「路線に合わせて複数の機材を使い分けることが、必ずしもコストダウンの妨げになるわけではない」とANA幹部は説明する。

 販路では、マレーシアのエアアジア本体はネット直販に固執し、販路が拡大できなかった。だが今後ANAは、成田空港周辺に住む人の需要をピンポイントで開拓するなど、“ドブ板営業”で顧客開拓に挑む。
 これまで年に1回、飛行機を利用していた人に2回乗ってもらい、グアムに行った人には、ハワイへ足を伸ばしてもらう──。こうした観光需要の掘り起こしを進めていく。

 「リゾート特化型LCC」。
 これまで日系LCC各社は、客室乗務員や制服、コーポレートカラーなどを活用して、それぞれが独自のブランドイメージを構築してきた。エアアジア・ジャパンはセクシー系、ピーチはカワイイ、ジェットスター・ジャパンは落ち着いた印象。ただ路線戦略は似た点が多く、経営面で明確な差別化ができていたとは言い難い。
 しかし今後、ANAが新LCCをリゾートに特化することで、自ずとほかのLCCの個性も際立ち始めている。エアアジア・ジャパンを脱し、セクシー系からリゾート特化に舵を切るANAの新LCCに、ライバルのジェットスター・ジャパンやピーチはどう対抗するのか。

2012年8月1日に初就航したエアアジア・ジャパン。エアアジアグループとANAの信頼関係を培うことができず、就航1周年を待たずして提携解消を発表した(撮影:吉川忠行、ほかも同じ)

コメント0

「吉川忠行の天空万華鏡」のバックナンバー

一覧

「航空業界の地殻変動招くANAの新LCC」の著者

吉川 忠行

吉川 忠行(よしかわ・ただゆき)

Aviation Wire編集長

ライブドアで同業初の独自取材部門「ニュースセンター」立ち上げに参画。ライブドア事件も内側から報じる。退職後はAFP通信社等で取材を続け、2012年2月Aviation Wire創刊。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「絶対これしかありません」というプランが出てきたら、通しません。

鈴木 純 帝人社長