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買収で「トランスフォーマー」になるワシントン・ポスト

待ち受けるのは新聞社の破壊か、それとも新たな形への変化か

2013年8月13日(火)

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 米インターネット小売り大手アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)が、米紙ワシントン・ポストを買収した。東京・有楽町にある日本外国特派員協会で、この買収劇について記者数人と話をした。

 米人記者は悲観的なことを述べた。

 「新聞業界の衰退が最終章に入ったという兆候だろう。紙媒体はいずれ滅び行く運命にあると思う。新聞業界の中でもワシントン・ポスト紙は、ネット記事を無料で読めるようにした先駆者だった。その新聞社がネット企業に喰われたのはなんとも皮肉な話だ」

 ドイツ人記者も自業自得といったトーンだ。「ニュースを無料で配信し始めたのは米国の新聞社だ。今になって課金し始めても流れを取り戻せない。無料で読めることを当たり前にしたつけが回ってきた」

 2人とも、新聞大手であっても業界凋落の流れには逆らえないという捉え方である。

 世界を見渡しても、紙媒体の売上は下降し続けている。同紙のドナルド・グラハム会長兼CEOは買収されることが決まった後、社員に宛てた書簡で、「売り上げは7年連続で下落していました。進めている改革は功を奏しているようにも見えましたが、売り上げを上向かせることはできませんでした」と淡々と買収された経緯を記している。

 前出の米人記者のコメントにもあるように、新聞業界が凋落しはじめてすでに久しい。2006年、米国防大学は米メディアの将来について厚い報告書を出した。その中で「米新聞紙のリサイクルは2040年で終わる」と結論づけている。この表現は、新聞という紙媒体は終わるが、新聞社は残る可能性があることを示唆してもいる。

 というのも、新聞は姿を消しても誰かがニュースの送信者であり続ける必要があるからだ。取材をして報道する作業はなくならない。ニュースは決して廃れないのだ。

 ただベゾス氏も、国防大学の報告書で記された内容とほぼ同じことを言い続けている。新聞という媒体は今後20年で終わるというのだ。それでは、あえてベゾス氏がワシントン・ポストを買収した真意は何なのか。

買収額はベゾス氏の資産の1%

 同氏の個人資産は250億ドル(約2兆5000億円)と言われている。今回の買収額は2億5000万ドル(約250億円)なので、ほんの小遣い程度の額ということになる。

 当初は個人での買収ではなく、アマゾンが企業として買収するつもりだったらしいが、役員会が了承しなかったとの情報がある。優良企業であっても250億円は大きな買い物だ。けれども、ベゾス氏個人にとっては資産の1%でしかない。

 買収後、ワシントン・ポストの社員に対して述べている。

 「これから進む場所の地図はありません。進路を決めることは容易ではないのです。何かを生みだしていく必要があります」

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「買収で「トランスフォーマー」になるワシントン・ポスト」の著者

堀田 佳男

堀田 佳男(ほった・よしお)

ジャーナリスト

1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、アメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社勤務後、90年にジャーナリストとして独立。政治、経済、社会問題で取材活動をつづけ、滞米25年後に帰国。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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