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「兼業が日本を支えている」と強弁する罪

農業崩壊に正面から立ち向かうガリバー経営

2013年8月23日(金)

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 このままでは日本の農業が壊滅する――。ずっと恐れられてきたことが、ついに目の前に迫ってきた。世代交代に失敗し続けたツケで、バケツの底が抜けるような耕作放棄が起きようとしているのだ。崩壊を防ぐことはできるのか。危機に立ち向かう2つの巨大経営を通して、農業の未来を探ってみよう。

 1つ目は富山県南砺市で、コメを中心に果樹や野菜を栽培するサカタニ農産だ。耕作面積は340ヘクタールと、東京ドーム70個分を超す。日本の農地の平均が2ヘクタールしかないことを考えると、サカタニ農産の途方もないスケールがわかる。

日本有数の巨大農場を経営するサカタニ農産の奥村一則代表

 日本を代表するこのガリバー農場でも、手を焼く相談がこの春にあった。「うちの田んぼを引き受けてくれないか」。持ち込まれた面積は15ヘクタールもあった。

 専業の家族経営で、経営者は80歳近い高齢だった。今年も田んぼに出るつもりだったが、体力に自信がなくなり、田植えを目前にして廃業を決めた。そこで残された耕地の引受先として期待したのがサカタニ農産だった。

 サカタニ農産は創業が1967年。5年後には農地を借りる形で大規模化に乗り出した。代表の奥村一則によると「はじめのころは軽飛行機を飛ばして拡声器で呼びかけ、テレビでコマーシャルを流すなど攻撃的に農地を集めた」。

 80年代後半に流れが変わった。バブルによる地価高騰で農家がどんどん土地を売っていった。大半は兼業で、もはや農業を続ける意思はない。売れ残った農地がサカタニ農産に流れてきた。90年代になると高齢で引退する農家が増え、自動的に農地が増えるようになった。

持ち込まれた48ヘクタールもの農地

 今回、相談のあった15ヘクタールはこうした流れとはべつのものだ。ここ10数年は年に5~10ヘクタールのペースで増え続けてきたとはいえ、土地を貸してくれるのは規模の小さい兼業農家がほとんど。田んぼ1枚の面積は平均で0.2ヘクタール強しかなく、地主の数も膨大になった。

 これに対し、まとめて15ヘクタールが手に入れば効率はずっといい。だが今年はすでに10数人から新たに6ヘクタールを借りており、いきなり15ヘクタールを上積みするのは難しい。そのため、2つの農業法人に頼み、ひとまず3社で農地を借りることにした。

 同じことは一昨年にも起きた。そのとき持ち込まれた面積はなんと48ヘクタール。ここは親子3人の家族経営だったが、父親が亡くなり、母と息子で話し合って廃業を決めた。このときは同じグループの法人と手分けして引き受けた。

 「計画的に農地が出てくるのならいいが、突発的だと受けきれない」。代表の奥村はこう話す。しかも奥村はそうした事態が杞憂(きゆう)では終わらないと予想する。「これから5~10年でこういうことが本格的に起きる」。

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「「兼業が日本を支えている」と強弁する罪」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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