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深海は、月よりも遠い世界

「幻のアトランティス発見」顛末記(2)

2013年8月28日(水)

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 今回の「アトランティス=花崗岩質の崖」の発見は、有人潜水調査船「しんかい6500」及び支援母船「よこすか」による世界一周航海「QUELLE 2013」の成果の1つです。

 quelle(クヴェレ)とは「起源」、「源泉」を意味するドイツ語で、同航海の代表提案者である北里さんが命名した世界一周航海の全体の愛称です。生命の限界を探るという意味を込めた航海のタイトルQuest for Limit of Life, 2013のアクロニムにもなっています。

 では、この「QUELLE2013」はどんな旅なのか?

 インド洋、大西洋、カリブ海、太平洋の極限的な環境を歴訪し、それぞれの海底の生態系を解き明かすことが最大の目的です。新種生物の発見なども大いに期待されていました。

誰も潜ったことのない深海に分け入る

 アトランティス=花崗岩質の崖を発見した航海「YK13-04」は、この「QUELLE2013」の一環でした。ブラジル沖の海底調査がそもそもの目的で、ブラジルとの国際共同研究航海です。「YK13-04」という正式名称とは別に、南アメリカ先住民のトゥピ・グアラニー語で、「深く暗い海へ船出する」を意味する「Iata-Piuna(いあたぴうな)」という航海名が与えられました。

 この「Iata-Piuna航海」はさらに2つの行程(レグ)にわかれています。

 「レグ1」ではリオ・グランデ海膨とサンパウロ海嶺を、「レグ2」はサンパウロ海台を調査海域と定め、我らが「しんかい6500」で深海調査を行う。

 ブラジル沖はもとより、南大西洋海域で有人潜水調査船を用いた深海調査潜航はこれまでに例がありませんでした。

 つまり、誰も潜ったことのない深海に初めて人が分け入る。世界初の試みということになります。

 私たちにとっても、どこになにがあるのか、どんな生きものが潜んでいるのかわからない大探検のような航海なのです。

 前情報はほとんどなし。
 研究者にとっては本当に成果が出せるのか不安です。
 基本的に深海を含む海洋調査は多くの困難を伴います。
 なんといっても深海は、真っ暗で何も見えません。

 海の中では光が水にはばまれます。このために、見通せる範囲がはなはだ狭いのです。地上では、38万km離れた月の表面を望遠鏡で観察できるのに対し、海中では、最も深い海溝の底が海面から10km(1万m)しかないにもかかわらず、どんなに澄んでいる海域でも見通せるのはせいぜい数十mまで。深さとともに光は減衰し、海底の様子を見渡すことは不可能です。

 海底調査は難しい。だからこそ、わざわざ潜水艇でもぐって、光で照らして直接見てくることに意義があるわけです。

 では、たくさんの発見が待っているはずの、深く暗いブラジル沖の海へ船出することにしましょう。

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「深海は、月よりも遠い世界」の著者

豊福 高志

豊福 高志(とよふく・たかし)

JAMSTEC研究員

(独)海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏領域(Biogeos, JAMSTEC)チームリーダー。静岡大学大学院理工学研究科博士課程修了、理学博士。専門は地球生物学、実験古生物学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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