いかにも米国らしい将来型輸送システムの構想が8月中旬に発表された。その名も「ハイパーループ」。
最高時速が760マイル(約1223キロ)に達する超高速列車で、カリフォルニア州サンフランシスコとロサンゼルスを約30分で移動できるという。飛行機よりも速いので、実現できれば夢のような乗り物である。
しかも、現在進行している同州高速鉄道計画の総予算700億ドル(約6.9兆円)のほぼ10分の1で建設できると目論んでおり、敷設されれば世界各国が導入に乗り出す可能性もある。新幹線も「かつての乗り物」になってしまいそうだ。
発表後の専門家の評価もおおむね良好で、単に夢物語で終わるようにも思えない。58ページにおよぶハイパーループ計画は詳細な内容に踏み込んでおり、インターネット上で閲覧可能だ。(公表されている資料はこちら)
システムの原理はエアシューターと同じ
内容を見ていくと、形状はハイパーループという名の通り、本体は鉄製チューブ内を移動するアルミニウム製カプセルだ。そのカプセルの中に28人が座り(別案もある)、気送管(エアシューター)と呼ばれるシステムと同じ原理で輸送される。
超高速列車の分野では、日本でもリニアモーターカーの実用化が進んでいる。ただ大きく異なる点がある。リニアモーターカーは磁気浮上式で、磁石の引き合ったり、反発したりする力を利用して車両を浮き上げ、駆動にも磁気を使う。
一方、ハイパーループには空気軸受(エアベアリング)と言われるシステムが採用されている。大型の筒の中に、人が乗るカプセルが入る。その隙間に薄い空気の膜をつくり、非常に小さい力で輸送を実現する。
同計画の発案者であり、起業家で発明家のイーロン・マスク氏(42)は、8月12日の記者会見でハイパーループの特徴をこう説明した。
「ハイパーループはコンコルド(ジェット機)とレール銃(電磁力を使った銃)とエアホッケー(スポーツゲーム)の要素を合わせ持ったシステム」
物理の世界に不案内な方にとっては、ピンとこないかもしれないが、人が乗れるサイズのカプセルを、ほとんど空気抵抗がない筒の中で移動させる、と想像頂ければご理解いただけるだろうか。
空気で浮かせた状態になるため、摩擦はほとんどない。基本的には無音・無振動で環境にも優しい。チューブ内は完全な真空にはならないが、車両の先頭に装着されるファンで空気抵抗をさげて真空状態に近い状態にする。電力はソーラーパネルで賄うという。
カプセルそのものは全長25メートルから30メートル、高さは1.1メートル、幅1.35メートルという小型サイズだ。乗車する段階から体を折り曲げるようにする必要がある。乗車中は飛行機の座席に座ってリクライニング・シートを倒したような体勢になる。
誰か技術的な解説をしていただけないだろうか。理論的に成り立つとは思えない点が色々見える。空送管は減圧区間に1つの物体しか送ることが出来ないので、駅間に1車両しか走れない。車載コンプレッサで自ら前方の空間を減圧するかのようにもみられるが、各車両がそれをすると空送管ではなくなってしまう。おまけに吸入空気量が少ないのは管内を減圧しているからか。だとすると車両を保持するエアベアリングの面当たり荷重が高く取れず、浮遊しにくそうな上、空送管としての機能が低くなる。したがって加速減速は結局リニアモーターで行う様だが、電力消費量は減圧管内の空気抵抗が少ないから効率的と言いたいのだろうか。長距離のチューブを常に減圧する電力はいかほどか?車両にバッテリーを積むようだがこれは交換式にした場合充電時間と使用時間の比で充電在庫を持たなければならないがどうするのか。最大30秒間隔で運航とあるが1車両28人乗りだと、1時間にして3360人(片道)。新幹線の1編成の定員1300人余りの3編成足らずに過ぎないが充分か?・・・etc原文を読めば書いてあるのかもしれないが、眉唾な点が多い気がする。(2013/08/27)