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タイ進出と日本企業に潜在するジレンマ、コミュニケーション論ふたたび

2013年9月17日(火)

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 前回のコミュニケーション論に関して、タイにおける女性管理職活用との相関が雑然であるとのご指摘を頂いた。

 そこで、今一度「社会集団(コミュニティ)とコミュニケーションの関係」を掘り下げた上で、「日本企業に潜在する女性活用とグローバル化の阻害要因」について私見を述べる。

コミュニケーションの非言語依存

 家庭であれ、会社であれ、人が集まり交われば、そこには社会集団(以下、コミュニティ)が形成される。家に帰れば家庭がコミュニティであり、その周りには地域のコミュニティが存在し、そして社会人であれば会社組織や派閥というコミュニティに属している。

 つまり、単一のコミュニティではなく、多種多様なコミュニティを往来し、時には重なり合いながら生活を営み、媒質であるコミュニティを介して、我々は対人とのコミュニケーションを図っているのだ。

 そして、対話による言語コミュニケーション[Verbal communication]と、身振り(動作・表情・文字・映像・図表)による非言語コミュニケーション[Non-verbal communication]の双方を駆使することにより、相互理解から意思疎通を図る伝達ツールとして、また自らの感情や精神を表現する交流ツールとして、コミュニケーションは発達を続けてきた。

 コミュニケーションは、送り手からのメッセージ(媒介する記号《注1》)に対して、受け手が送り手と同じ反応(理解)を示すこと、そして送り手が受け手の反応を認知し、メッセージが相互理解されたことを確認することで成立するが、そのメッセージ全体の65%は非言語コミュニケーションが占めている。

《注1》 記号とは、言葉や身振りのみならず、動作(接触・姿勢・威嚇)、表情(視線・声質)、印象(口調・沈黙・服装・髪型)、感情(親近感・嫌悪感・不快感・優越感・劣等感)、地位(身分・誠意・権力・服従・黙殺)など多岐に渡る。

 この65%という数字が興味深いのは、たとえ論理的思考にもとづき35%の対話に尽力しても、受け手が印象や感情、地位に対して敏感(優先)に反応する場合、送り手とのコミュニケーションが成立しないばかりか、65%の影響から送り手の意図とは掛け離れた誤解や判断に、各々が帰結する危険性をはらんでいる点にある。

 我々は往々にして、このコミュニケーションの不成立[Discommunication]から生じる意思不達に遭遇する。会話が途絶えた家庭はその典型であり、会社組織では、上司が部下の意見に耳を貸さない(近頃は逆パターンも多いが)のも、派閥の確執も、会議における“鶴の一声”も、この65%の非言語コミュニケーションに支配されているからだ。

 ここで重要なのは、コミュニケーションの不成立がイコール受け手へのメッセージ未達とはならない点、つまりメッセージ自体は伝播されている《注2》点にある。媒質であるコミュニティが受容しメッセージが伝播されているからこそ、コミュニケーションの不成立という結果をもたらしている事実を見逃してはならない。結局のところ、上司の自分本位も、経営者の“鶴の一声”も、会社組織というコミュニティがそれを許容しているが故なのである。

《注2》 受け手が送り手のメッセージを認識しない場合、それはコミュニケーションの不成立ではなく、お互いのメッセージ認識領域(具体的には言葉や挨拶など)の不一致に起因した伝播エラーである。つまり両者は異なるコミュニティに属しており、コミュニケーションの前提を満たさない関係にある。

 ここに、メッセージを伝達するのに、コミュニケーションの成立は必ずしも必要ではないという真実が導き出され、さらに35%の徒労経験が意思不達の焦燥と諦めを煽り、偏重した65%の非言語依存を増長させる。その行き着く先が、身分と権力による一方通行の(強引に送り出した)メッセージ伝達、いわゆる“言って解らないのなら、いいから黙って従え”的思考に陥るのは想像に難くない。

 それでも、身分と権力の行使が、職制と権限の範疇であれば組織上の指揮命令である。しかし公平性を欠き、倫理観も道理もなければ、それはもう恫喝であり強要でしかなく、その横暴や圧制が許されるのも、もとを正せば帰属するコミュニティがそれを許容しているからに他ならない。

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「タイ進出と日本企業に潜在するジレンマ、コミュニケーション論ふたたび」の著者

加藤 耕介

加藤 耕介(かとう・こうすけ)

ITストラテジスト/EBT代表

2輪車メーカー、コンサル業界を経て、空調メーカーにてグローバルSCM構築の中心的役割を果たす。タイの生産拠点をハブにした業務改革・IT導入を実施。「企業における業務改革の主治医」を志しEBT設立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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