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「使うときのCO2」はこんなに多い

日本企業に広がる「スコープ3」開示

  • 馬場 未希=日経エコロジー副編集長

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2013年9月10日(火)

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スコープ3基準に基づき、温室効果ガス排出量を公表する企業が増えている。定量化と情報開示にとどまらず、新たな削減策を模索している。

 今年、企業が発行した環境報告書で、「スコープ3基準」にのっとって算定した温室効果ガス排出量を、初めて開示するケースが増えている。

 スコープ3基準は2011年、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)などが定めた。他に「スコープ1」「スコープ2」の基準がある。いずれも、温室効果ガス排出量を算定するときの基準で、算定対象となる企業活動の範囲が異なる。

温室効果ガス排出量の算定範囲
スコープ1自社が所有・支配する施設からの直接排出(例)燃料燃焼時の排出など
スコープ2自社が購入したエネルギー製造時の排出(例)購買電力の発電時の排出量
スコープ3自社のサプライチェーンからの排出
カテゴリー1購入した物品・サービスカテゴリー9輸送・流通(下流)
カテゴリー2資本財カテゴリー10販売した製品の加工
カテゴリー3燃料・エネルギー関連活動カテゴリー11販売した製品の使用
カテゴリー4輸送・流通(上流)カテゴリー12販売した製品の廃棄後の処理
カテゴリー5事業から発生する廃棄物カテゴリー13リース資産(下流)
カテゴリー6出張カテゴリー14フランチャイズ
カテゴリー7従業員の通勤カテゴリー15投資
カテゴリー8リース資産(上流)
出所:GHGプロトコル「スコープ3基準」(みずほ情報総研訳)

 スコープ1は、企業活動のうち自社施設からの直接の排出を、スコープ2は他社から買ったエネルギーの製造で生じる排出を算定の対象とする。一方、スコープ3は他社や客先での排出が対象だ。サプライチェーン(供給網)の調達先や、製品を使う客先などで生じる排出で、具体的には15のカテゴリーに分類される。

 日本では企業に対し、省エネ法などでスコープ1、2排出量の報告を義務づけているが、スコープ3排出量の開示は義務づけられていない。それでも、企業は独自にスコープ3排出量の算定を始めている。

重点的に手を打つべき真の課題を確かめる

 コニカミノルタは、6月発行のCSR(企業の社会的責任)レポートに、スコープ1~3に当たるサプライチェーン全体の排出量を掲載した。従来から製品が客先で使われた時のCO2排出量などを公表していた。これはカテゴリー11に当たる。

調達先の原料使用効率を改善へ:コニカミノルタのスコープ3排出量
コニカミノルタの資料を基に作成。カテゴリー13は11に含まれる。9と10はデータの把握が困難なケースがあり、今回は除外している。全排出量の5%以下となるカテゴリー(3、4、5、6、7、8、14、15)は「その他のカテゴリー」にまとめた(注:四捨五入しているため合計値が合わない場合がある)

 今回、スコープ3全体に広げた理由を、社会環境統括部の高橋壮模(たけのり)・環境企画部長は「自社が関わる排出量の影響がどのくらいの量、範囲に及ぶのかを世界で標準とされる手法を使って把握し、重点的に手を打つべき真の課題を確かめたかった」と説明する。

 結果は、カテゴリー1に当たる「調達先から買った物品・サービスが製造される時の排出量」が最も多く、その次がカテゴリー11だった。カテゴリー1について高橋部長は、「他社での排出なので、これまでは対策が打ちづらかった」と振り返る。しかし今後は、調達先向けに省資源対策支援を本格化する。

 その対策の1つが、プラスチック部材の成型時に出る端材の削減だ。従来、プラスチック部品の成型時に出る端材は工場内でリサイクル(再利用)している。金型の改善などで端材を小さくし、量を減らしてきたが、これをさらに進め、端材を出さずに成型できる技術を開発した。

 この独自開発の技術を自社工場だけでなく、調達先でも導入してもらう。材料使用量が減れば、コストだけでなく、材料製造時に排出するCO2が減る。今年度は展開を本格化し、「調達先にもメリットのある対策で、CO2削減の協力を得たい」と、高橋部長は話す。

リース子会社も算定に挑戦

 NECも7月、昨年度のスコープ1~3排出量を公表した。その総量は814万t。このうち94%がスコープ3に該当した。カテゴリー1で対策を打つため、調達先の協力を得る。

調達先と実態把握を開始:NECのスコープ3排出量
NECの資料を基に作成(注:四捨五入しているため合計値が合わない場合がある)

 今年6~9月、約2100社の調達先に対して説明会を開催した。とはいえ、「現時点では排出量の大小だけで調達品や調達先を見直したり、削減を求めたりすることは考えていない」(NEC)という。まずは排出量のデータを精緻に把握するため、協力を依頼した。

 他にも、最も排出量の多いカテゴリー11の削減に注力する。当面は、製品の省エネ性能を高める対策を継続していくという。

 リコーも、昨年度におけるグループのスコープ1~3排出量を公表した。カテゴリー1と11が多かったが、カテゴリー13に当たる「同社製品などがリースされた客先での使用時の排出量」も無視できない量だ。

 実は、カテゴリー13を公表している事例は、世界でもあまり見当たらない。しかし、リース事業の子会社、リコーリースの排出量を把握しようと、独自に算出方法を探った。

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