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今年はシルクで勝負するユニクロ

高級品だが意外になじみが薄い素材は吉と出るか凶と出るか

2013年9月11日(水)

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 関西は8月下旬になってようやく連日の猛暑日から解放された。店頭にも秋冬衣料が入ってきているが、まだ全貌がわかるほど入荷しているわけではない。

 現時点でもっとも秋冬物が充実しているのはユニクロだろう。ユニクロは以前から季節を先取りした入荷に定評があるが、現在もそれは変わってはいない。今年も8月のお盆前には秋冬の定番商品と化したウルトラライトダウンやセーター類が並んでいた。そんなユニクロの今秋冬の目玉商品の1つがシルクとカシミヤだろう。

 カシミヤのセーター類はこれまでも店頭に出ていたので、今のところ、それほど驚きはない。一方、レディースでの大々的なシルク素材の取り扱いは初めてとなる。ブラウス、ワンピース、Tシャツ、カーディガン、スカーフなどを展開。価格は1990~5990円だ。

 ユニクロの勝ちパターンとしては「高額品(高級素材)を廉価で販売」というところであるので、今回のシルクという選択は間違いではない。フリースしかり、ジーンズしかり、カシミヤしかり、ダウンジャケットしかりである。ユニクロが圧倒的に支持されたのは、本来、中級以上の価格帯の商品を一般大衆が買いやすい低価格ゾーンに下げたことにある。カシミヤもそうだと言いたいところだが、残念ながらカシミヤはフリース、ジーンズ、ダウンジャケットに比べるとそこまでの衝撃的な低価格ではなかったと感じる。

 シルクはレザーやリアルファーと並んでユニクロがこれまで扱ってこなかった高級素材といえる。一時期、レザーを扱ったことはあるが、これは長続きしなかった。

サイト上でお手入れ法などを詳細に解説

 消費者は「絹(シルク)=高額品」という意識を持っている。ユニクロのサイトを覗くとシルクに関するページが大量にアップされているため、かなりの力の入れようだということがたちどころに理解できる。これは推測にすぎないが、ユニクロがここまでシルク素材の解説に力を入れた理由の1つに、洗濯など手入れの大変さがあるだろう。シルクは綿のTシャツと同じような感覚で全自動洗濯機に放り込んでオシマイというわけにはいかない。お手入れ法として、手洗い・陰干しを推奨し、紫外線に弱いこと、虫に喰われやすいので防虫剤が必要なこと、何日間も連続着用せずに繊維を休ませることなどの注意を喚起している。

 実際のところ、われわれ庶民にも馴染みが深いウールやカシミヤなど素材だって本来はこれくらいの手入れの慎重さが必要となる。しかし、広く人口に膾炙していることもありさすがのユニクロでさえ、サイト上でここまでの解説はしていない。逆に言えば、ここまで解説が必要ということは、それだけ一般大衆はシルクという素材に親しみがないのだろう。

 皆さんもちょっと思い返してもらいたい。「小さい頃からシルク素材の衣料品をよく着ていました」という消費者は少ないのではないか。一般的に「シルク=着物=高級品」というイメージが浸透しており、一般大衆がそれなりの頻度で手にすることがあったのはシルクのスカーフくらいではないだろうか。

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「今年はシルクで勝負するユニクロ」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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