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「適材適所が望ましい」とは限らない

「強みを生かす」ばかりでは部下の可能性を奪う

2013年9月20日(金)

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 東京都内のデザイン事務所で働くあるチーフデザイナーは、今年41歳になります。デザイナーと言っても、社員数50人ほどの会社で扱う仕事は派手ではありません。中規模企業の商品パンフレットやポスター制作などが多く、発注企業との雑多なやりとりもデザイナー自らが行わねばなりません。

 そうした中でこのチーフデザイナーは、細かい仕事も厭わない真面目な働きぶりが評価され、今は3人の部下を抱えています。

 部下たちはいずれも美術大学やデザイン専門学校などを卒業しており、一人ひとりがいずれはこのチーフデザイナーと同じように、クライアントとの折衝から制作までこなせるようになることが会社から求められています。

 部下のうち2人は、まだ20代前半の男女。言ってしまえば、ほぼ新人の状態です。もっぱらチラシなどの小さな仕事を受け持っていますが、それなりに張り切って働いています。

 もっとも、デザイナーとして入社した身としては、チラシづくりは決して面白い仕事とは言いにくいことでしょう。オリジナリティあふれるデザイン能力というよりは、むしろクライアントからの様々な注文にすぐ応える能力が求められます。

 しかも、その注文というのは、「価格表記の文字を大きくしてほしい」とか、「コストを下げるためにインクの質を落としたい」といったような内容で、デザイナーとしての創造性をかきたてられるものではありません。

 新しく入ってきたデザイナーの卵たちが、こうした現実に嫌気が差して辞めていったケースが過去にいくつかありました。チーフデザイナーがはじめて受け持った部下が入社して1年ほどで退職願いを持ってきたとき、このチーフデザイナーは少なからずショックを受けたそうです。

 しかし、今受け持っている20代の部下2人はそうした様子を見せることもなく、真面目に仕事をしています。クライアントとのやり取りについては少し心配がありましたが、それも何とかうまくやっているので、チーフデザイナーはほっとしていました。

「世間では『ゆとり世代』を悪く言うことが多いけれども、素直なところはありがたいな」

分業体制がもたらした功罪

 むしろチーフデザイナーにとって心配なのは、もう1人の部下でした。この部下は30歳になったばかり。美術大学を出て新卒でこの会社に入って以来、ずっとこのチーフデザイナーの下で働いています。チーフデザイナーにとっては2人目の部下です。

 この部下は、入社当初から抜群のデザインセンスを発揮し、周囲を驚かせました。チラシひとつでも、ほかのデザイナーが制作するものとはひと味違うのです。

 ただ、人とのコミュニケーションが苦手なようで、クライアントとぶつかることが何度か重なりました。その原因の多くが、せっかくのデザインを台無しにするようなクライアントからの注文にあるようでした。しかし、そこをなんとか擦り合わせないと、ビジネスとして成り立ちません。

「このままだと辞めてしまうんじゃないか…」

「輝く課長の行動科学マネジメント」のバックナンバー

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「「適材適所が望ましい」とは限らない」の著者

石田 淳

石田 淳(いしだ・じゅん)

ウィルPMインターナショナル社長

行動科学マネジメントの第一人者。行動分析、行動心理を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものにアレンジ、短期間で8割の「できない人」を「できる人」に変えると企業経営者などから支持を集める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長