メガソーラー(大規模太陽光発電所)が続々と国内で稼働し始めた。9月初旬に経済産業省が発表した集計によれば、2013年5月末時点で、FIT(フィード・イン・タリフ)制度の買い取り対象として認定された再生可能エネルギー発電設備は、実に2237万kWに達する。このうち2091万kWが太陽光発電システムだ。この出力容量を単純に原子力発電所と比べると、約20基分に匹敵する膨大な規模になる。


出所:経済産業省の資料をもとに日経BPクリーンテック研究所が作成
設備認定された太陽光発電のなかには、土地の利用について確定していない案件も多く、実際に稼働まで行き着くのは半分程度との見方もある。また、そもそも太陽光発電の国内での設備利用率(定格出力でフル稼働した場合と比べた実際の発電量)は約12%なので、同70%(東日本大震災前)の原発とは単純に比較できない。ただ、そうした条件を加味しても、いずれ太陽光発電で原発数基分の電力を生み出すことになる。
原発の再稼働が不透明な中での太陽光発電所の急増は、変貌するエネルギービジネスを象徴している。そして、再生可能エネルギーの大量導入は、単なる再エネビジネスだけでなく、スマートグリッドの必要性を高め、ICTを基盤にエネルギーの枠を超えた新たなビジネスを生む可能性がある。
3.11後新たに加わった3つの視点
太陽光発電の普及加速に関しては、FITの高い買い取り価格による一過性のブームとの見方もある。だが、すでにエネルギー政策のパラダイムシフトが起こっており、需要の浮き沈みはあるものの、長期的には後戻りできないと考えるのが妥当だ。
これまでエネルギー政策の基本は、「安全保障(セキュリティ)」「経済性」「環境性」の3つの視点が重要とされてきた。東日本大震災による原発事故、長期的な停電を経験したことによって、日本ではこれに加え3つの視点が新たに重視されることになった。
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