• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

今日売れるのはホット飲料か、コールドか

最先端の経済学が明かした、エキナカ自販機1台ごとの「売る力」

2013年10月2日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

日経ビジネス9月30日号の特集「日米最新事例 ビッグデータ 本当の破壊力」では、最新のデータの活用事例を紹介したうえで、「プライバシーに関わる情報の保護」と「社会全般の利便性向上」のバランスをどう取るのかという課題に焦点を当てた。このコラムではそれに連動し、誌面には収めきれなかった視点や事例を紹介していく。

 顧客の購買行動や時間による変化など、膨大な細かいデータの蓄積・分析が可能になり、いわゆる「ビッグデータ」の活用が叫ばれている。そしてデータ解析の専門家「データサイエンティスト」の実力にも注目が集まってきた。

 日本にもこの波はじわじわと押し寄せ、データ分析から判明したことを意思決定に生かそうとする企業も増えている。抽象的な議論が多い中、ここでは実際に最先端のスキルを持ったプロのデータサイエンティストが分析し、事業分析に活用できた1つの具体例を詳しく見ることにしよう。

 東日本旅客鉄道(JR東日本)のいわゆる「エキナカ自販機」ではこの秋、管内主要20駅でこれまでになくきめ細かな商品展開を実施している。同じ駅であっても異なる個々の自販機ごとの売り上げ特性に対応した「ホット」への切り替え作業を、ビッグデータの分析を基にしながら進めている最中なのである。

 JR東日本管内でエキナカ自販機を主力事業として展開するJR東日本ウォータービジネスは、「小売業としての自販機」を念頭に、ビッグデータを駆使したマーケティング改革に本腰を入れて取り組んできた企業の1つだ。2012年度の自販機による売り上げは約278億円である。

 2009年度に初の減収を経験して以来、「量から質へ」の転換を模索。同年から自販機POS(販売時点情報管理)データを分析し、売り上げ回復に生かしてきた。そして2013年夏、すべての自動販売機1万台のおよそ半分に当たり、POSデータの取れる自動販売機約5200台の、1年分約2億件に上るデータを最先端の手法で詳細に分析。飲料の売れ方について、個別の特徴を突き止めることに成功した。

 例えば、「いつコールド飲料からホット飲料に切り替えるべきか」について、個別の自販機ごとに突き止めたのだ。最先端の手法を駆使してこの分析に携わったデータサイエンティストは、実は母国を離れて米国や英国で活躍し、研究に力を注いでいる日本人経済学者たちだった。

頭のもやもやが「モデル解析」ですっきり

 「頭のもやもやがすっきりと晴れたような気分だ」

 渡辺安虎・米ノースウェスタン大学経営大学院助教授、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス経済学博士課程の川口康平さん、上武康亮・米エール大学経営大学院マーケティング学科助教授、そしてアシスタントを務めた東京大学の大学院生らのチームによるデータ分析の結果を聞いたJR東日本ウォータービジネスの担当者らは、思わずそう漏らした。

 何しろこれまで、自販機1台ごとの「売る力」の分析は、「ルートマン」と同社が呼ぶ現場の補充担当者の経験と勘に頼っていたため、かなり漠然としていた。しかし、それが渡辺助教授らの定量分析によって、霞んでいた視界がいきなり晴れるような感じで個別にはっきりと分かったからだ。

 自販機ビジネスでは、どのタイミングで季節の商品を入れ替えるかが極めて重要になる。

 これまでは経験則から、気温が17度を下回るころからホットを扱い始め、10度を下回るとホットの需要が高まり、逆に10度を上回るとコールドの需要が高まる、といった判断で商品を切り替えてきた。売り上げの「質」向上を目指してニーズに合った品揃えを実現するため、2009年からは6か月の気温予想情報を基にして飲料を切り替える計画をしていた。

 だが、売り上げを分析するうちにすぐに限界を感じた。同じ駅の中であっても、自販機の置かれた場所によって全く売れ方が違うことがはっきりと分かったからだ。

 自販機はそもそも無人である。このため、1人のルートマンが何十台もの自販機の実績を個別に細かく把握し、効率的・計画的にすべて対応しなければならなくなる。

コメント1

「ビッグデータ 本当の破壊力」のバックナンバー

一覧

「今日売れるのはホット飲料か、コールドか」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長