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大島提案で火が付いた「東電解体」

電力改革にも事故処理促進にも、もはや不可避

2013年10月4日(金)

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 自民党の大島理森前副総裁が、東京電力の分社案を安倍晋三首相に提言したことが明らかになった。9月18日に関係者を通じて首相に私案として伝えたといい、9月22日になって党幹部の話として共同通信などが報じた。

 提案の具体的な内容は明らかにされていないが、東電の福島第1原子力発電所の廃炉事業を進めるために別会社を設立、東電から事実上分社するという内容だという。分社することによって、事故処理から廃炉までの事業を担う人材などを別会社に移し、国が資金面で支援できるようにする狙いがある。

 大島氏は自民党の東日本大震災復興加速化本部長を務めている。汚染水の流出問題が深刻化する中で、福島を中心にうずまく、「もっと国が前面に立って事故処理と廃炉を行え」という声を代弁したものとみられる。

 提案のベースになっているのは経済産業省内にかねてから存在する「グッド東電・バッド東電」方式とみられる。現在の東京電力を、福島第1原発の処理と廃炉、被害補償にあたる「バッド東電」と、福島第1原発以外の発電所や送電網、配電事業を持つ「グッド東電」に分けようというアイデアだ。欧米では企業再生の方法としてしばしば使われる常套手段である。

 実は、事故後の東電の扱いを決めた民主党政権でもこの方式が議論されたが、会社を分割するには、資産や事業価値の算定が必要になり、事実上の破綻処理になる。破たん処理になった場合、損失を被ることになる金融界の強い要望で見送られたとの見方がもっぱらだ。金融機関は、東電向けの巨額の債権や、東電の社債を大量に保有する。事実上の破たん処理となれば、全額ではないにせよ、債権回収ができなくなり、被害が発生する。「社債市場が大混乱し、国債暴落の引き金を引く」といった脅しじみた主張に、民主党政権の政治家たちは突き動かされた。

東電を「生かさず殺さず」では限界

 その結果、事故処理や廃炉作業、損害賠償は一義的に事業者である東電が行い、国が原子力損害賠償支援機構を通じて、円滑な賠償を支えるという現在の仕組みとなった。国は機構を通じて50.11%の議決権を保有しており、実質的に国有化状態にあるにもかかわらず、「あくまで責任は東電が負う」という民主党政権による「整理」が今も生きているのだ。東電の破たん処理を避けることを第1に考えたために、東電を“生かさず殺さず”の状態に追い込んだとも言える。

 深刻化する汚染水問題に対して安倍首相は8月、東電任せにせず国の関与を強化する方針を示した。汚染水対策ばかりでなく、事故処理にも国がもっと関与するということである。そうなると、どこまでを国の責任で行い、東電はどこまで負担するのかという東電という会社の「あり方」の議論が不可欠になる。

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「大島提案で火が付いた「東電解体」」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官