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JALのA350導入は日本に何をもたらすのか

ボーイング依存脱却で競争力向上を

2013年10月16日(水)

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 10月7日、日本の航空業界に衝撃が走った。
 日本航空(JAL)がエアバスの次世代機A350を導入すると発表したのだ。旧日本エアシステム(JAS)が合併前に導入し、既に退役したA300を除くと、JALがエアバス機を発注するのは初めてのこと。

 JALは、中長距離国際線や国内幹線として使っているボーイング777型機46機の後継機として、A350-900(メーカー標準仕様で3クラス314席)を18機、A350-1000(350席)を13機の計31機を確定発注した。オプション発注(仮発注)分の25機を加えると、最大56機導入する契約だ。A350の運航は2019年から予定しており、その後の6年程度で777からA350へと機材を更新する計画だ。

 半数近い25機が仮発注となっているのは、「購入の可否を今後判断するというよりも、(314席の)A350-900と(350席の)A350-1000のどちらをどの時期に導入するのか、柔軟に対応したい」(JAL関係者)との意向が働いたため。

 これによって、JALで初めて、ロールス・ロイス製ジェットエンジンを搭載する機体が誕生することにもなる。従来JAL機のエンジンは、GEやプラット・アンド・ホイットニーなどという米国製が採用されてきたが、A350のエンジンはロールス・ロイスが独占供給するからだ。

 今年1月に起きた787のバッテリートラブルを受け、エアバスはA350ではメインバッテリーへのリチウムイオン電池導入を見送った。従来から実績のあるニッケルカドミウム電池を採用することで同じようなトラブルを回避する。2014年下期には、カタール航空に、量産初号機を引き渡す計画だ。

 これまで国内航空会社の大型機と言えば、ボーイングが独占してきた。特に近年は、777の牙城だったと言えるだろう。JALが保有する全機材のうち、777は約2割の46機。そのうち22機を国内線、24機を国際線に使っている。777以前の主力で、ジャンボの愛称で親しまれた747は、離着陸回数の多い日本の国内線専用モデルとして、747SR-100と747-400Dが開発された。多頻度着陸による衝撃に耐えるため、胴体などを強化している。777はこうした経験が生かされて開発された。

 今回、JALがA350を発注して長く続いたボーイングの独占は終わりを告げた。なぜ今、JALは777の後継機を今、選定したのか。

A350の購入同意書を掲げるJALの植木社長(右)とエアバスのブレジエ社長(撮影: Haruyoshi YAMAGUCHI/Aviation Wire)

 JALは777を、1996年2月から2009年10月にかけて受領している。なかでも国内線用の22機は、多くが1990年代後半に受領した機体だ。約20年という航空機の使用期間を見ると、後継機へのバトンタッチは目前に迫っていた。

 ボーイング側は今年6月のパリ航空ショーで、生産が決定した787の派生型である787-10(300-330席)や、計画中の777XをJALに提案している。777の後継機となる777Xは、2019年ごろの就航を計画しており、長距離国際線用の現行機777-300ERの胴体を少し短くした777-8X(350席)と、777-9X(400席)の2機種からなる。

 航空機の開発は、計画よりも遅れることが多い。777Xは独ルフトハンザグループが導入を決めているが、ボーイング側から生産決定の正式発表はまだない。777の退役期限が迫るJALにとって、ボーイング機にこだわることは、A300を除いて運航実績のないエアバス機を導入することとは違う、納入遅延リスクに直面する恐れがあったのだ。 世界的に見ても、機材の調達リスクを回避し、さらには価格面でのメリットを見出すために、ボーイングとエアバスの2社に分散発注するのは主流である。

 一方で、JALのエアバス導入については、同社のファブリス・ブレジエ社長兼CEO(最高経営責任者)が、JALの稲盛和夫名誉会長にトップセールスをしたことが伝えられている。
 しかし航空機の導入は、単にトップの売り込みだけで決まるほど簡単な話ではない。何より違うメーカーの機体を導入するとなると、パイロットの育成から整備、日々の運航までガラリと変わる。

 ある航空会社首脳は、魅力的な競合機が現れても、従来機の改良型を導入する理由を「メーカーを変えないのが一番安く済むから」と語る。それだけ、ボーイングが主流の航空会社に入り込むことは難しい。

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「JALのA350導入は日本に何をもたらすのか」の著者

吉川 忠行

吉川 忠行(よしかわ・ただゆき)

Aviation Wire編集長

ライブドアで同業初の独自取材部門「ニュースセンター」立ち上げに参画。ライブドア事件も内側から報じる。退職後はAFP通信社等で取材を続け、2012年2月Aviation Wire創刊。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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