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成熟五輪で発信すべき新たな「イズム」

黒川紀章と滝川クリステルに学べ

2013年10月21日(月)

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 2020年の東京五輪では「メタボリズムの功罪」に学ぶべきだ、というところまで前回に書いた。まず、メタボリズムとは何なのか。一昨年、東京・六本木の森美術館で開催された「メタボリズムの未来都市展」の公式ブログではこう説明されている。

 「メタボリズムとは、皆さんがご存じの生活習慣病、メタボリック症候群と同じ『新陳代謝』を意味する生物学用語です。今から50年前の1960年、戦後の復興期が終わり、高度経済成長の時期へ向かった時代に、日本から発信された建築運動です。社会や環境の変化に合わせて、建築や都市も新陳代謝をしながら変化していくべきだとの理念に基づき、この名が付けられました」

(イラスト:宮沢 洋、以下同)

 メタボリズムの説明のために、「メタボリック症候群」を先に言わなければならない点が建築関係者としてはちょっと悲しいが、語源は同じ「metabolize=代謝させる」なのである。メタボは本来、悪い意味ではないのだ。

 メタボリズムの基本的な考え方は、細胞が新陳代謝するように、建築も古くなった設備や、機能が合わなくなった部屋などをユニットごと交換することで、社会の成長や変化に対応していこうというもの。高度経済成長を背景として、日本の若手建築家や都市計画家のグループが1960年にこの考え方を提唱したところ、世界が注目するムーブメントとなった。

 メタボリズムグループの中心メンバーの1人が黒川紀章氏(1934~2007年)だ。2007年の東京都知事選における風変わりな選挙活動が脳裏に焼き付いているかもしれないが、黒川氏は1960年代から70年代にかけて建築界をけん引した日本を代表する建築家の1人である。変なおじさんのイメージは、故人の名誉のために薄めてあげてほしい。

 黒川氏は1970年に開催された大阪万国博覧会でメタボリズムの理念を取り入れた「東芝IHI館」や「タカラビューティリオン」などのパビリオンを設計した。

 現在も残る建物では、1972年に完成した「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」がメタボリズムの代表作とされる。銀座8丁目の首都高速脇に建つワンルームマンションだ。円形の窓を備えたカプセル状の住戸が、エレベーターの周りにびっしりと張り付いているさまは、真っ白なトウモロコシのよう。一見して、普通のマンションではない。

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「成熟五輪で発信すべき新たな「イズム」」の著者

宮沢 洋

宮沢 洋(みやざわ・ひろし)

日経アーキテクチュア副編集長

1967年東京生まれ。1990年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、日経BP社入社。日経アーキテクチュア編集部に配属。以来、建築一筋。現在は日経アーキテクチュアにて「建築巡礼/プレモダン編」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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