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レッドブルが「翼をさずける」。代理店はいらない

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2013年10月31日(木)

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 レッドブルの強さの秘密は、そのマーケティングにある。飲料業界の識者はそう口をそろえる。だが、そのマーケティングは、すべてを数字で計算するアメリカ型のそれとは毛色が違う。「長期視点」で「自前主義」。宣伝もイベントも自分たちで手をかけるのだ。

 秘密主義のレッドブルの実態に迫る書籍『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』をもとに、オーストリア発飲料の先進的なマーケティングについて見ていこう。

 「レッドブル、翼をさずける。」

 これはレッドブルが1987年に世界で初めてオーストリアで販売開始になったときに使われたキャッチコピーだ。このコピーは現在でも世界中で使われているので、目にしたことがある人も多いだろう。

 レッドブル創業者のディートリッヒ・マテシッツは、タイの実業家とエナジードリンク「クラティンデーン」のライセンス契約を結び、そのドリンクをヨーロッパ向けにアレンジした。主な変更点は、炭酸を付加したこと。こうしてレッドブルは誕生した。

 このライセンス契約によって、レッドブルは商品の生産や流通を行わず、マーケティングに注力することが運命づけられていた。そして、そのマーケティングこそが、レッドブルを世界で年間52億本売る原動力となったのである。

 創業者マテシッツは、自社の商品を高価格帯に絞り込んだ。だからこそ、1缶あたりの利益率70%という驚異的な数字になっているのである。商品は現在も高価格に絞り込んでおり、例えば日本のコンビニでは、レッドブル250ml缶が275円程度、185ml缶が200円程度で売られている。同量の清涼飲料の2倍以上の価格だ。

物議をかもしたレッドブルのCM

 創業当初、ヨーロッパでエナジードリンクという分野がまったく存在しなかったのにもかかわらず、レッドブルは需要をゼロから喚起しなければならなかった。そのため、とにかく話題になる宣伝を考えた。

 レッドブルの創業者マテシッツは、自分の大学時代の友人であるヨハネス・カストナーに声をかけ、CMなどを制作した。カストナーはオーストリアの大学卒業後、ドイツに移って広告代理店を設立していた。「レッドブル、翼をさずける。」というキャッチコピー、コミック調のCMを生み出したのは彼だ。

レッドブルのコミック調のCMは、本国オーストリアで大きな話題となった。日本ほか世界各国でも放送された。(リンク

 だがこうした創業当初のキャンペーンは、相当な「難産」だったようだ。広告業界ではあらゆることがやり尽くされている。広告クリエイターのカストナーは、1年半にわたって50以上のプランを提案したが、レッドブル創業者のマテシッツは、そのすべてを却下した。

 何がいったい問題だったのだろうか。カストナーはこう説明する。「レッドブルを飲むと、誰もがとても強くなる。みんなそう考えていました。ただ、それを表現するためのふさわしい言葉が見つからなかったんです」。しかし、ある夜、突然、ひらめいた。「レッドブル、翼をさずける」。夜中であるにもかかわらず電話して説明すると、マテシッツは一瞬で目を覚まし、「それだ」と答えた。

 この広告シリーズは人気を博した。1993年から1995年にかけて、カストナーは3年連続でオーストリアの広告大賞を受賞する。レッドブルの広告が数多くのマーケティングの常識に反しているにもかかわらず、だ。「発売開始キャンペーンで放送されていたテレビCMは、わざと不器用に描かれたアニメを使ってまるで商品の効果を笑いものにしているかのようだった。ほかのブランド企業であれば、確実に解雇の理由になる」とオーストリアの経済紙「ヴィルトシャフツブラット」が分析している。

 「自己否定、非順応、スマート、そして反抗」カストナーは広告のコンセプトをこう説明する。批判もあった。CMのなかで、司祭に翼が生え、空を飛んだため、保守的なカトリック教徒の一部が、信仰心を傷つけられたと抗議したのである。このような議論はキャンペーンにとっても、あるいは商品自体にとっても、マイナスに作用することはなかった。むしろ逆だった。このドリンクが話題になることこそ、マテシッツの望んだことであった。

コメント5件コメント/レビュー

カフェインの常習性については、コーヒーなどの嗜好品の存在が証明しており、レッドブルの目の付け所は良かった。尚且つ従来のコーヒー紅茶とは一線を画したマーケティングで、若年層の心をつかんだのも上手い戦略だった。少量のビタミン、炭酸とのマッチングも従来の栄養ドリンクの盲点をついていた。(なぜなら、日本には炭酸を含むがカフェインの無い清涼飲料系の栄養ドリンクも、カフェインとビタミン類を含むが炭酸飲料の飲み口ではない=美味くない医薬品系の栄養ドリンクも個別に存在していた。)エクストリームスポーツを自ら演出して盛り上げてゆく手法もドリンクのイメージとブレの無い一致を見せていて見事だ。もし死角があるとすれば、レッドブルドリンクの正体に大衆が疑いを持ち始めた時だろう。元気になる、気がする飲み物を常習的に高い金を出して飲み続けている俺って、いったい・・・?いつその時が訪れるのか、興味深く見ていきたい。ちなみに私は体質的にカフェインを避けているので飲んだことは無い(2013/10/31)

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カフェインの常習性については、コーヒーなどの嗜好品の存在が証明しており、レッドブルの目の付け所は良かった。尚且つ従来のコーヒー紅茶とは一線を画したマーケティングで、若年層の心をつかんだのも上手い戦略だった。少量のビタミン、炭酸とのマッチングも従来の栄養ドリンクの盲点をついていた。(なぜなら、日本には炭酸を含むがカフェインの無い清涼飲料系の栄養ドリンクも、カフェインとビタミン類を含むが炭酸飲料の飲み口ではない=美味くない医薬品系の栄養ドリンクも個別に存在していた。)エクストリームスポーツを自ら演出して盛り上げてゆく手法もドリンクのイメージとブレの無い一致を見せていて見事だ。もし死角があるとすれば、レッドブルドリンクの正体に大衆が疑いを持ち始めた時だろう。元気になる、気がする飲み物を常習的に高い金を出して飲み続けている俺って、いったい・・・?いつその時が訪れるのか、興味深く見ていきたい。ちなみに私は体質的にカフェインを避けているので飲んだことは無い(2013/10/31)

少なくとも日本ではリポビタンDやオロナミンCが国民的ともいえるロングセラーとして定着しています。レッドブルがこれらと同様に日本でも定着するかはまだ見極めが必要でしょうが、ロングセラーにならないとも、成長が潰えるとも到底断言などできませんね。そういえば他社類似品が時折とんでもない値段でディスカウントされていますが、利益率が高い商品ならそういうこともできるのでしょう。レッドブルがディスカウントとは縁遠い販路ばかりで売られていることも含めて注目すべき点かと。(2013/10/31)

今週末大阪・勝尾寺で行われるMTBダウンヒルレース、見に行くつもりです。雨が降りそうなのが気がかりですが・・(2013/10/31)

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三品 和広 神戸大学教授