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「貧乏じいさん」にならない自信、ありますか?

若い頃からの貯蓄を促す仕組みが続々登場

2013年10月29日(火)

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 長年低い貯蓄率が問題視されてきた米国では、人々にはどのような行動バイアスがあるのか、どのような選択の間違いを犯すのか、そして、どのような制度設計をすれば貯蓄が増えるのかについて、行動経済学での研究が積み重ねられてきた。制度が異なる日本の貯蓄行動に米国での研究成果が全て当てはまるわけではない。しかしながら、米国で長年積み重ねられてきた行動バイアスに関する研究とその制度設計への応用は、金銭的にゆとりがない中でも早い時期から僅かずつでも貯蓄を始めることを促し、貯蓄率向上を目指して制度設計を実現するにあたって、日本にも参考になることが多いのではないかと思う。

 日本はかつて高い家計貯蓄率で知られていたが、近年はその顕著な低下が報告されている。2011年の経済開発協力機構(OECD)の報告によると、1993年に14.2%だった日本の家計貯蓄率(家計可処分所得に占める家計貯蓄額の割合)は、2009年には2.4%まで低下した。貯蓄率が低いことで知られる米国の家計貯蓄率でさえ、1993年には5.8%、そして2009年には4.7%である。もちろん、貯蓄率の定義や税制などの制度の違いがある中で各国の家計貯蓄率を単純に比較することは危険であるし、またこの期間に日本では少子高齢化が急激に進行したため、単純に平均の家計貯蓄率の変遷を議論するのは危険であるが、この数字には驚きを覚える読者も多いだろう。

十分な金融資産がなく老後が不安

 金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」によると、老後の暮らしについて非常に心配していると答えた世帯の割合は、1997年の20.5%から2012年には40.6%に上昇した。2012年の調査では、非常に心配あるいは多少心配と答えた世帯のうち70.4%が、老後が心配な理由として「十分な金融資産がないこと」をあげている。

 また、42.0%の世帯が、現在の生活にゆとりがなく老後に備えて貯蓄していないと答えている。一方、年金に対する期待は低く、全体のわずか3.9%の世帯が年金で不自由なく暮らせるだろうと考えている。現在の日本では、年金だけでは老後の生活が不安だと思いながらも、充分に金融資産が蓄積できず、将来に不安を抱いている人々が多いことがわかる。

 同調査の個々の世帯の金融資産(預貯金、生命保険、個人年金保険、株式、投資信託、その他金融商品)の保有に注目してみると、金融資産を全く保有していない世帯の割合は、1993年の10.5%から、2011年には28.6%に上昇した。2011年の時点で、20歳代の44.7%、30歳代の31.7%、40歳代の29.1%、60歳代の25.5%、そして70歳代以上の27.2%の世帯が金融資産を全く保有していなかった。40歳代、50歳代の世帯の4分の1以上が金融資産を全く保有していないこと、そして20代では40%以上が全く資産を保有していないことに対して、筆者は懸念を抱かざるを得ない。人生の早い時期から僅かでも金融資産を蓄積し始めることはとても重要であるといえる。

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「「貧乏じいさん」にならない自信、ありますか?」の著者

田中 知美

田中 知美(たなか・ともみ)

合同会社エッジ代表

米ハワイ大学経済学科博士課程修了。カリフォルニア工科大学ポスドク、アリゾナ州立大学助教授、慶応義塾大学特任准教授などを経て現職。専門は行動経済学・政策実験。1969年長崎県生まれ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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