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素人に説明できないのならば、学者なんていらない

今年上半期の新刊で絶対にお勧めしたい5冊

2013年11月1日(金)

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 みなさんこんにちは。月に一度の書評コラムです。

 このコラムではこれまで、古典を中心に様々な本を紹介してきました。しかし読者の皆様の中には、古いものばかりで新しいものはないのかというご不満もあったかもしれません。

 そこで今回は、今年出版された本に限って、僕が読んでお薦めしたいトップ5を、独断と偏見でご紹介したいと思います。僕は大体、週に4~5冊読んでいますので、半年で約100冊は読んでいると思います。その100冊の中の5冊で、わずかな母数ではありますが、参考にしていただければ幸いです。

 では、トップから行きます。

 僕が選んだ今年上半期のトップは、『社会心理学講義』(小坂井敏晶著)です。

 なぜこれがトップか。それは、この著者が基本に据えている考え方が「社会が安定していなければ落ち着かない。しかし変化しないと進歩はない」という矛盾にあり、これが「人間とは何だろうか」という永遠の問いに対する大いなるヒントにつながっているからです。

「安定」しながら「変化」しなければ生きられない

 人間は動物ですから、寝ている間に寝首をかかれるのはやはり、イヤです。安心して眠れる、道を歩いていても山賊や海賊に襲われる心配もない安定した社会がやはり一番重要です。著者の言葉で言えば、「社会は同一性を保っていないと落ち着かない」のです。

 しかし一方で、ダーウィンの進化論にあるように、変化をしなければ社会が存続しなくなってしまいます。人間の面白いところは、同一の存在でありながら、変化を続けていくことにあります。たとえば、一カ月前のあなたと今日のあなたは、体の細胞は合成と分解を繰り返し、入れ替わっています。しかし、あなたはずっとあなたです。これを生命の動的平衡と言います。社会も、同一でありながら長い目で見れば変わっている。この社会における「同一でありながら変化を続けるという矛盾」をどう理解できるのか、この本は、この難問に挑戦して、その答えを全体として捉えようとしている本なのです。

 人間とは果たしてどういう動物で、その人間がつくる社会はどういうものなのか。学問が追求すべきは、人間とその人間が作る社会全体の本当の姿を追い求めることにあると思います。しかし医学の世界にしろ経済学にしろ、狭い専門領域のたこつぼに入り込み過ぎて、専門家同士にしか分からない会話をして、専門外の人にはちんぷんかんぷんでも、それで良しとする態度が当たり前になってしまいました。その弊害として、全体を俯瞰しようという試みがなおざりにされていると思います。しかしこの本は、社会全体を捉えることに作者が必死に取り組んでおり、その気迫が感じられ、読んでいるうちにその気迫が乗り移ってきます。

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「素人に説明できないのならば、学者なんていらない」の著者

出口 治明

出口 治明(でぐち・はるあき)

ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年生まれ。京都大学を卒業後、日本生命保険に入社。同社を退職後、2006年にネットライフ企画設立、代表取締役就任。2008年にライフネット生命保険に社名変更。2013年6月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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