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シャープ、共創下手の要因は自信過剰と動機不純

元副社長、昭和の生き証人が語る

2013年11月5日(火)

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 佐々木正氏は1915年生まれの98歳。49歳の時に創業者・早川徳次氏に請われ、早川電機工業(現シャープ)に入社した。当時、同社は様々な“日本初の製品”を投入しながら、強大な販売網を持つ松下電器産業(現パナソニック)に市場を奪われていた最中。打開策を求める早川氏に佐々木氏は電卓事業への経営資源集中を提言、自ら開発部隊の先頭に立ち、発展の礎を築いた。

 世界に先駆け電卓を開発するなど伝説の技術者でもある佐々木氏。70歳を過ぎてシャープを去ったが、氏が育てた液晶は同社の根幹技術へと成長した。だが、2000年代以降、薄型テレビ事業が飛躍し「液晶のシャープ」の名を世界に轟かせた同社が今、苦しい状況に陥っている。成長の立役者はシャープの現状をどう見るのか。

シャープは2000年代初頭から液晶事業で成長したが、4期連続で最高益を更新した後に急ブレーキがかかった。何が原因だったのでしょうか。

(写真:村田 和聡)

佐々木:液晶事業に関して言えば、自信過剰が事態を招きました。「液晶のシャープ」として世界に名が知れたため慢心してしまった。テレビをブラウン管からすべて液晶にする商品戦略は当たった。だが、もっと謙虚になるべきだったように思う。

 シャープは、独創が上手な会社です。液晶や太陽電池のように、単独で商品開発する力は十分あります。でも他社と組んで新しい価値を生み出す「共創」が下手でした。シャープの技術者はよくやってくれていると思う。でも、経営陣が大局を見た方向性が明確でないのが(OBとして)心配なんですわ。

今必要なのは「りんごマンゴー」の精神

 私は共創を「りんごマンゴー」に例えます。私自身が学生時代に研究していたテーマでもあります。りんごは寒い地域の果物ですよね。マンゴーは南国の果物です。2つを掛け合わせるには接ぎ木が必要であるなど難しさはありましたが、掛け合わせることによって、全く新しい種ができたのです。

 シャープには今、りんごマンゴーの精神が必要です。シャープがりんごだとすると、マンゴーは台湾の鴻海(鴻海精密工業)だったり、韓国のサムスン(電子)だったりします。

 共創は不可能を可能にする力です。シャープには違う文化を受け入れる素地が時代とともに失われてしまっているように見えます。

共創が下手なのはなぜでしょうか。

佐々木:まずは動機不純です。共創は動機不純の気持ちがあったら絶対にできません。動機が純粋であれば時間がかかっても、完成するものです。

 例えば経営陣の一部に自分の利益ばかりを追求する者がいると、他社との提携は難航してしまう。相手の利を考えないことではダメ。本当にみんなのことを考えてやらないと成功しません。

自前主義は、シャープの創業者・早川徳次氏からの伝統でした。

佐々木:ええ。松下(幸之助)さんはオランダのフィリップスのブラウン管の技術で松下電子工業を創り、業界のリーダーシップを取ろうとしました。

 一方で早川さんは「そんなよその国の技術を使ってやらんで、自ら研究せんかい」と言われました。そこで我々は液晶の開発に取り組みました。

 その点では、早川さんは確かに自前主義でした。一方で松下さんは他社と提携して先に芽が出た。自社で全て研究するよりは、技術を買ったり、M&A(経営統合)をやったりした方が事業として成功するまでの時間は早かった。液晶は素晴らしい技術ですが、25年以上かかってようやく製品化できました。

コメント5件コメント/レビュー

技術は真似られた終わり、でも日本は技術を真似てここまで成長したのは事実。シャープの失敗は技術ではなくマーケティング。人が興味がもつモノを作れば売れる。シャープは技術が凄いと押したが、人は技術なんて恩恵を受けても興味がない。その温度差に気付かなかっただけ。くどいが技術論ではない。(2013/11/05)

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「シャープ、共創下手の要因は自信過剰と動機不純」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

技術は真似られた終わり、でも日本は技術を真似てここまで成長したのは事実。シャープの失敗は技術ではなくマーケティング。人が興味がもつモノを作れば売れる。シャープは技術が凄いと押したが、人は技術なんて恩恵を受けても興味がない。その温度差に気付かなかっただけ。くどいが技術論ではない。(2013/11/05)

その通りですね。経営者が一つの技術に固執して、根こそぎ刈り取ろうとして、事業資金を次の技術開発に十分投下しなかったことが衰退の要因です。辻さんの頃から技術の青田買いが始まり、町田さんで選択と集中と言いつつ、新しい技術の芽を育てようとしなかった。技術部門の長も経営者のご機嫌伺いするようになって、言われるままに技術の深耕に邁進した。新しいことは金と時間が掛かるし、評価され難いので、ついつい技術者もそちらに向いて行ったということでしょう。少なくとも1995年位までは、技術開発は自由闊達で、職場はイキイキしていました。それこそ、次々新しい商品で常に業界の最先端を走っていましたから。それをシャープらしさと思っていたのですが、いつしか経営者は経営資源をその場だけに注入し、ブランド力向上とかデザイン家電とか、技術以外の事に注力して、その場鎬の金儲け主義に走ってしまった。真面目にコツコツやっていたらこうは成らなかったと思いますよ。(2013/11/05)

佐々木氏の「企業は競争相手に技術を真似られて、元も取れないような形で安く販売された時が寿命だと思います」は、企業を事業・製品に置き換えて考えると誠に重みのある言葉と思いました。(2013/11/05)

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