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戦時体制が日本経済を強くし、そして弱くした

野口悠紀雄・早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問に聞く

2013年11月11日(月)

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かつての日本経済と日本企業の強みを作り出した仕組みが、逆に弱みに転じた。失われた20年の根底にある問題を野口悠紀雄氏は、こう指摘する。メインバンク制・間接金融や企業内組合など日本的経営はどのようにして日本経済の強みとなり、どこから弱みに変わったのか。その転変は日本経済の今後の再生に何を示唆するのか。野口氏に聞いた。(聞き手は本誌主任編集委員 田村賢司)

かつての日本経済の強さは第二次世界大戦遂行のための戦時経済体制が元にあったと主張してきた。

野口:その通りだ。例えば、企業内組合は戦争遂行のため労使双方の協調を目的として、旧内務省が1937年に各事業所に作らせた産業報国会が元になったものだ。また、メインバンク制も、戦時中に金融統制の一環として始まっているし、金融事業整備令で金融機関の再編成も行われている。戦後の多くの経済の仕組みの元がこの時代に出来ている。

 これが日本の高度成長を演出する大きな力になった。戦後、重化学工業が発展し、高度成長が実現したのもメインバンク制・間接金融主体で重要な産業に優先的に資本を回し続けることが出来たからだ。

1980年代に日本経済の強さの源泉と言われた日本的経営も、その中から出来ていった。

野口:日本的経営といわれるものも間接金融に関係している。メインバンク制・間接金融の下では、企業は資本市場ではなく、銀行を見ていれば良かった。資本市場が金融の中心であれば、企業は投資家に対してオープンにならざるを得ないが、日本の場合、企業は銀行にだけ向いていれば良かった。企業内組合も同様で、労働市場全体というより、企業内での雇用政策ですんだ。

「賃上げより会社存続」で危機対処

だが、その仕組みが1973年、79年の石油危機も乗り越えさせたと指摘している。

野口:産業ごとに組織された産業別組合や、その上部団体である全産業のナショナルセンターの強い欧米は、物価上昇に応じて賃金を引き上げる物価スライド条項を含む賃金協定が普及している。そのため、インフレになると不況にも関わらず賃金が上がるスタグフレーションに陥りがちになる。

 このため、欧州、特に英国では政府が所得の上昇率を統制して生産性上昇の範囲内に抑えようとする議論が盛んになったが、自由主義経済である以上、それは難しかった。レイオフのしにくい欧州でオイルショック以後、経済成長が停滞したのはそこに一因があった。

 一方、日本は企業内組合が「インフレに合わせて過大な賃上げを要求すると会社が傾く」と考えて、賃上げより会社の存続を重視した。配置転換にも協力して、雇用を優先した。これが経済危機を乗り越えるのに大きな力となった。さらに、ちょうど為替が変動相場制に移行し、円高になった時期でもあり、円高で原油価格の上昇が一部吸収できたこともかなり影響した。

 よく、石油危機の際、日本は省エネ経済に転換して乗り切ったというような言い方がされるが、実際には、この2つの影響が大きかった。

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「戦時体制が日本経済を強くし、そして弱くした」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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