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「コップの中の争い」続ける航空業界

政治、行政の顔色を読み続ける航空各社

2013年11月13日(水)

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 国土交通省は11月5日、2014年春に増枠される羽田空港昼間時間帯(朝6時から夜11時まで)の国際線発着枠について、配分の見直しを求めていた日本航空(JAL)に対し、見直さないとする考えを示した。これにより、ANAホールディングスに11枠、JALに5枠という配分はほぼ確定。英国とフランス、中国、シンガポール、タイはANAとJALに1枠ずつとなったが、ドイツの2枠とベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダ各1枠については、全てANAに配分されることになった。

 JALの植木義晴社長は、均等配分を想定していた中期経営計画との差を鑑み、約300億円の減収と約60億円の減益を見込むとした。だが、これだけではない。JALが成田空港から運航するインドネシアやベトナムなどの路線を、ANAが羽田空港から就航させた場合、「最大で約350億円の減収、約100億円の減益を追加で想定している」(植木社長)と発言した。
 つまり利便性を求めるビジネス客が、羽田発着の便に流れると、最大で650億円の減収、160億円の減益となる計算だ。中期経営計画の見直しは避けられない。

 今回の傾斜配分は、ANAとJALの体力差を是正するために、監督官庁である国土交通省の裁量で決められたもの。JALは3500億円を出資した企業再生支援機構に対し、再上場時にその1.9倍となる6946億円を返したが、破綻後の再生がうまく行き過ぎたことで、2社の体力差が広がったと捉えられている。

 発着枠配分を見直さないとした国交省は、JALのどのような路線展開を禁じているのか。また、今回の決定は日本の航空産業に今後、どのような影響を及ぼすのか。

格差は「一定程度、是正できた」

 国交省は今回の発着枠配分で、JALの新路線開設に制限を設ける考えを付け足した。ドイツの2枠など、ANAのみに配分された発着枠は、現在、JALが羽田から就航していないことが理由で認められなかった。

 それでは、今後JALは新規路線の開設を一切認められないのか。配分を担当する国交省・航空事業課によると、新規開設を認めない対象は、羽田空港の国際線・昼間時間帯のものだけだという。「そのほかの路線については個別に判断するとしており、一律に路線開設を禁じるものではない」(国交省)ということだ。

 羽田空港の発着枠について、国交省はJALへの回答書の中で、「国土交通大臣が航空法の趣旨に基づいて広範な裁量権を有しているもの」とした。国交相の裁量で、配分がいかようにも決められると明記したのだ。JALの再建については、再建そのもののあり方についてもこれまで議論がなされていた。つまり、極めて限られた競争環境の中で、特定企業だけを過剰に支援すれば、それは即ち自助努力で営業を続ける企業にとって、支援そのものが自由競争に「不平等性」を持ち込むことになる、というものだ。
 JALについても、2018年まで法人税の減免措置が適用されるが、こうした再生のあり方に疑問の声が出ていたのは確かだ。だが企業再生の手法そのものを変えようとすると、これは国交省の裁量だけでは決められない。ほかの産業や企業への影響も懸念される。そこで今回は、国交省が権限を有する「発着枠」の中で調整したというのが、今回の経緯である。

 ANAとJALの格差是正について国交省は、「JALの再生時に配慮が欠けていたので、本来、事前にやるべきだったことについて事後対応した」(航空事業課)と説明する。つまり国交省としては、今回の羽田空港発着枠の差配によって、一定の格差是正ができたという見解だ。

羽田空港の発着枠はANA、JAL両社にとって重要な資産となる(撮影:吉川 忠行)

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「「コップの中の争い」続ける航空業界」の著者

吉川 忠行

吉川 忠行(よしかわ・ただゆき)

Aviation Wire編集長

ライブドアで同業初の独自取材部門「ニュースセンター」立ち上げに参画。ライブドア事件も内側から報じる。退職後はAFP通信社等で取材を続け、2012年2月Aviation Wire創刊。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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