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レッドブルは銀行からカネを借りない

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2013年11月14日(木)

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 レッドブルが強いブランドを育てることができたのは、アメリカ的なマーケティングの常識に徹底的に逆らったからだ。株式を上場せず、「秘密主義」といわれても、長期的な視野に立って腰を据えてスポーツやイベントに取り組み、世界市場を開発していった。

 レッドブルの実態に迫る書籍『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』をもとに、オーストリア発飲料の先進的なマーケティングについて見ていこう。

 超巨大ブランドが鎬を削る飲料業界の世界で、レッドブルがトッププレーヤーとして一気に上り詰めることができたのは、「マーケティング」の力であることは間違いない。

 だが、レッドブルのマーケティングは、「アメリカ式」のそれとは違う。そこに新しさが、そして日本企業が参考にすべき理由がある。

 日本で発行されているマーケティング関連の書籍は、ほとんどがアメリカ式の事例をベースにしている。何か新しい手法が登場すれば、それを取り入れた「ベスト・プラクティス」が示され、様々な経営上の課題が解決すると喧伝される。また、すべての要素が数字によって表され、管理される。データの分析こそが企業の強みになるというのが最新のトレンドだ。経営者も頻繁にメディアに登場し、まるでロックスターのようである。

 レッドブルは、こうしたアメリカ式のマーケティングから見ると、まったくの「非常識」な考え方で成功した。創業者のディートリッヒ・マテシッツにとっては、「その量を計ることも金銭で買うこともできない抽象的な要素こそが、企業の成功の基礎となる」のである。こうした「見える化」の逆を行く発想は、彼らのマスコミぎらいにも表れている。

 マテシッツはこれまで、テレビやラジオなどの電波メディアに登場したことがほとんどない。新聞や雑誌などの紙メディアにはインタビューが掲載されることはあるが、それも好意的な記事を書くメディアに限られている。レッドブルに対して批判的な記事を掲載した新聞や雑誌が再びマテシッツに取材を申し込んでも、門前払いをくらうのだという。

徹底したマスコミぎらい

 経済誌「フォーブス」は2012年のマテシッツの資産を53億ユーロと見積もり、世界長者番付で193位とした。これは、オーストリア人として1位である。これだけ成功した経営者ならメディアが殺到してもおかしくないのだが、彼の肉声をまともに放送できたところはないのだ。

 なぜこのエナジードリンク会社の社長は、ここまでメディアぎらいなのだろう。

 プライベートを大切にしたいというのも理由のひとつだ。彼は70歳に近くなった今でも独身を貫いているが、これまでに親子ほど歳の離れた若い女性と交際してきた。だが、もっと重要な理由がある。手がかりは、「ブランドを作るのは商品であって私ではない」という発言だ。

 商品がブランドを作る。これは、当たり前といえば当たり前で、マーケティングの王道である。だが多くの企業は、その基本を忘れてしまう。新商品の発表会では、経営者が派手なプレゼンテーションを行う。メディアを賑わすのは、売り上げ目標の巨大な数字や業績予想といった数字ばかり。だが、レッドブルをレッドブルたらしめているのは、そんなものではない。

 マーケティングが効かないといわれる昨今の状況の中で、利益率70%の飲料を年間52億本も販売できるのは、そのブランド価値の高さのおかげだ。そこにレッドブル最大の秘密がある。

 ディートリッヒ・マテシッツは、レッドブルは単なる飲料ではなく、「エキサイティングな体験」であり、スリルや冒険そのもの、と定義した。だからこそ、1980年代後半の創業当初から、「エクストリーム・スポーツ」のスポンサーとなった。当時の若者は、厳格なオリンピック・スポーツよりも、スノーボードやマウンテンバイク、ハンググライダー、フリークライミングなど新しいエクストリーム・スポーツに惹かれていった。それは反抗心の表れであり、それこそが「レッドブル的」な姿勢なのである。また、ヨーロッパに登場した当初、国によっては販売許可がおりず、密輸品扱いだったレッドブルは、エクストリーム・スポーツに熱をあげる人たちにとってぴったりのイメージだった。

『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』発行記念トークショー開催!
楠木建氏(一橋大学教授)×諫見祐子氏(元レッドブル・ジャパン)

12月4日に本書の発行を記念したトークショーを開催します。解説を担当した『ストーリーとしての競争戦略』でおなじみの楠木教授と、レッドブル・ジャパンのマーケティング・マネージャーだった諫見祐子さんが登壇。詳しくは三省堂有楽町店(電話03-5222-1200)まで。

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