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農政改革、「村の論理」にメス

よそ者に就農チャンスを

2013年12月6日(金)

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 日本の農業政策が変わろうとしている。コメの生産調整(減反)に焦点が当たりがちだが、農地を集約するために来年、県ごとにつくる「中間管理機構」をめぐる論議をたどると、農政がたぐりよせようとしている目標がみえてくる。農業への新規参入にとってハードルとなってきた「ムラの論理」の排除だ。

 霞ケ関には“官庁文学”とでも言うべきものがある。ふつうの人には分かりにくい言い回しの違いでも、官僚やその分野のウオッチャーが読めば差は一目瞭然。例えば、官僚用語で「検討する」はたいてい「先送り」を指す。

 これと比べると、中間管理機構に関する農林水産省の資料は検討過程でずいぶん分かりやすく変化した。農水省の担当官は「政府の規制改革会議や産業競争力会議での議論を踏まえた結果」と説明する。その真偽はさて置き、まず時間の経過にそって中身を検証してみよう。

政府の会議が「人・農地プラン」に待った

 農水省が8月22日に規制改革会議に出した資料を開くと、「中間管理機構は、人・農地プランが作成されている地域内の農地など(中略)を借り入れる」とある。機構の役割は、農地を耕すつもりのない地権者から農地を借り、区画を大きくするなど集約し、将来の担い手にまとめて貸し出すことにある。農水省の文章はこれに沿っているようにみえるが、ポイントはそこではない。

 「人・農地プラン」。これは民主党政権が2012年度に本格的に始めた取り組みで、一言でいえば「農地をだれに集約するか」を村の話し合いに委ねる仕組み。根拠法はなく、農水次官が同年2月に出した通知で都道府県知事に実施を求めた。農水省は中間管理機構の創設と合わせ、この「人・農地プラン」を法制化することを検討していた。

農水省は当初、地域の話し合いで担い手を決める「人・農地プラン」を推進していた

 法的な根拠がなければ、予算も制度も続かないのは民主党が導入し、減反廃止とともに葬り去られようとしている戸別所得補償制度と同じ。ただ「村の話し合い」を尊重する「人・農地プラン」は自民党農林族にもけっこう受けがよく、農水省も法制化は当然と考えた。

 これに待ったをかけたのが、官邸が主導し、大手企業のトップらが参加する政府の会議だ。農水省が資料を出してから1カ月後の9月19日、規制改革会議は中間管理機構の創設に関して「意見」をまとめる。その内容が痛烈。「人・農地プラン」のことを「そもそも運動論にすぎない」「法制化することは適当でない」と切り捨てたうえで、「農地の貸付先を決定する農地利用配分計画の作成にそのまま用いたり、(中略)当該プランの内容を基準としたりすることのないようにすべきである」と全否定した。

 翌9月20日には、産業競争力会議の農業分科会の主査で、ローソン社長の新浪剛史ら3人が意見書をまとめた。それを読むと、「制度のみの導入で運営が骨抜きとなってはならない」とクギを刺し、さらに「人・農地プランに基づく話し合いは(中略)有効な手段」とある。

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「農政改革、「村の論理」にメス」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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