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「特定秘密保護法」と「オバマケア」に共通する「誤算」

行動経済学が浮き彫りにする政策担当者の役割

2013年12月10日(火)

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 2010年に議会を通過し、オバマ大統領が署名して成立した医療保険制度改革の下では、個人の健康保険加入を義務付けること、そして保険料の支払いが困難な低所得者には補助金を支給することが決められた。

 当時、共和党支持者が多いアリゾナ州で教職に就いていた著者は、医療保険制度改革の法律が成立した直後、学生達に米国の高額な医療費を他の先進国の医療費と比較したグラフを見せ、日本、イギリス、ドイツ、スイスなどの他の先進国政府が公的医療保障制度の下どのようにして医療費を抑えているのかを議論した。

 学生達の公的医療保障制度への理解は深まったが、それでも「アメリカは自由の国なので健康保険に入るかどうかは個人の自由である」「オバマケアの導入で今たくさんある選択肢が狭まるのは反対である」という意見をもつ学生は多かった。2012年3月にカイザー家族財団が行った調査でも、わずか32%の人しか国民みんなが健康保険を持つべきだとは思っていないことが明らかにされた。

なぜ米国人はオバマケアに反対するのか

 なぜ多くの人々がこれほど強くオバマケアに反対するのだろうか。日本でも「特定秘密保護法」をめぐり、土壇場になって世論の強硬な反対によって国会が混乱した。本稿では、保有効果(Endowment Effect)、現在バイアス(Present Bias)、投影バイアス(Projection Bias)、フレーミング効果(Framing Effect)、情報過多・選択肢過多(Information and Choice Overload)などといった行動経済学の概念を使って、考察してみたい。

 オバマ大統領が推進する医療保険制度改革(通称「オバマケア」)は、野党共和党の強固な反対を受けている。それが原因で、今年9月には予算案の不成立が決定し、10月には17年ぶりに3週間にも及ぶ政府閉鎖が発生し、一部の政府機関の機能が停止した。

 世界銀行の統計資料によると、2011年の国民医療費が国内総生産(GDP)に対する比率は、日本・イギリスでは9.3%であるのに対して、米国では17.9%だった。国内総生産(GDP)の18%近い金額を医療費に費やしているのは驚きである。民間の健康保険料が高額なため健康保険に加入できない人々が、アメリカには約4900万人(約15%)存在する。

コメント10件コメント/レビュー

急ごしらえの法律であることは否めないが、それ程に東アジアの情勢は緊迫している証拠である。この緊迫感は、マスコミにも、国民にも共有されていない。私達は平和ボケしています。 ▽我が国は、存亡の危機に追い込まれた時、明治維新以来、対外戦争で、先制攻撃により先端を開いてきました。大東亜戦争に敗れて以来、これを悪として繰り返し教え込まれてきました。米国の武力支配下での平和に安穏としている中で、ボケてしまいました。 ▽しかし、緊迫した状況の中で今、我が国は、専守防衛の縛りにより、圧倒的に不利な立場です。この不利な状況の中で、いかに相手の本音を探り、イタズラに騒ぎ立てることなく、冷静に且つ迅速に外交判断を下して、有利に交渉を進めなければなりません。 ▽この為には、情報の収集と分析、相手の本音を推定する能力の向上が急務。もっと政府は、この現実の緊迫を、冷静に且つ丁寧に説明しなければならない。政府自民党はこの努力を怠っている。(2013/12/14)

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「「特定秘密保護法」と「オバマケア」に共通する「誤算」」の著者

田中 知美

田中 知美(たなか・ともみ)

合同会社エッジ代表

米ハワイ大学経済学科博士課程修了。カリフォルニア工科大学ポスドク、アリゾナ州立大学助教授、慶応義塾大学特任准教授などを経て現職。専門は行動経済学・政策実験。1969年長崎県生まれ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

急ごしらえの法律であることは否めないが、それ程に東アジアの情勢は緊迫している証拠である。この緊迫感は、マスコミにも、国民にも共有されていない。私達は平和ボケしています。 ▽我が国は、存亡の危機に追い込まれた時、明治維新以来、対外戦争で、先制攻撃により先端を開いてきました。大東亜戦争に敗れて以来、これを悪として繰り返し教え込まれてきました。米国の武力支配下での平和に安穏としている中で、ボケてしまいました。 ▽しかし、緊迫した状況の中で今、我が国は、専守防衛の縛りにより、圧倒的に不利な立場です。この不利な状況の中で、いかに相手の本音を探り、イタズラに騒ぎ立てることなく、冷静に且つ迅速に外交判断を下して、有利に交渉を進めなければなりません。 ▽この為には、情報の収集と分析、相手の本音を推定する能力の向上が急務。もっと政府は、この現実の緊迫を、冷静に且つ丁寧に説明しなければならない。政府自民党はこの努力を怠っている。(2013/12/14)

多くの日本人にとっては普遍的価値を持つ国民皆保険が、何故に米国で受け入れられないのか理解し難いでいる日本での現状を考えれば解り易い分析で良いエントリーだったと思います。ただ、とって付けた様な秘密保護法に関する言説は私にもミスマッチに思われて残念。国家として必要不可欠な法律だと認識しながら附則すべき環境整備法の不備に言及する層は意外と多い。我が国の発展途上国並みの「身内によるお手盛り監視機能」への不安心理は、このエントリーの論考の範疇には無いと思われます。(2013/12/10)

「特定秘密保護法」と「オバマケア」で共通する背景は、既得権益者がマスコミを使って煽動することによる反対世論の形成である、ということがよくわかりました。もっとも、既得権益者が日本の場合は国外にあり、米国の場合は国内にあるとの違いは大きいのですけどね。(2013/12/10)

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