• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

レッドブルは「時間をかけて」翼をさずける

  • BP社出版局

バックナンバー

2013年12月12日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 秘密主義のレッドブルに迫った書籍『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか』は、オーストリア人ジャーナリストが元従業員への取材をまとめたもの。レッドブルの本社はオーストリアにあり、創業者であるディートリッヒ・マテシッツもオーストリア人。そんなレッドブルから日本人が何を学ぶべきなのか。本の解説を書いた一橋大学の楠木建氏と、元レッドブル・ジャパン・マーケティング・マネージャーの諌見祐子氏が本の発売記念イベントで対談した。(協力:三省堂書店有楽町店、写真:中野和志)

楠木:僕はレッドブルという飲料の存在はもちろん知っていましたが、この会社についてはまったくといっていいほど何も知りませんでした。F1などのスポーツ・マーケティングで有名なわけですが、僕自身、スポーツはやるのも見るのもまったく興味がなくて。

諌見:楠木先生はスポーツをやってらっしゃるように見えますのに。

楠木:いや、まるで興味がないんです。走るどころか、歩くのすら嫌ですから(笑)。そもそもテレビという機械を所有していないから、F1もサッカーも見ないんですよ。

諌見:テレビを持ってらっしゃらないんですか!

楠木:この10年間のテレビを見た時間を合計しても28分くらいですね(笑)。だからスポーツに詳しくないし、読書ばかりしているし、テンションはいつも低いし、汗を流すのはサウナの中だけ。踊る方のクラブにも興味ないし、夜9時には寝てしまう。

諌見:なんと(笑)。レッドブル創業者のディートリッヒ・マテシッツ氏とは正反対ですね。

楠木建(くすのき・けん)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。著書に『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『経営センスの論理』(新潮新書)、『戦略読書日記』(プレジデント社)、『知識とイノベーション』(共著、東洋経済新報社)などがある。
諌見祐子(いさみ・ゆうこ)
オルタナジャパン株式会社代表取締役。東京女子大学文理学部英米文学科卒業。外資系のアパレルや食品、広告代理店を経て、2008年にレッドブル・ジャパンに入社。マーケティング・マネージャーを務める。その後退職して独立し、オルタナジャパンを設立。

楠木:だから、レッドブルの商品コンセプトにはまったく惹かれないし、この本の解説を書くには最も不適当な人間です(笑)。もし、翻訳書の解説の依頼をもらわなかったら、レッドブルに興味を持たないままで、この本が書店に並んでも手に取らなかったでしょう。

 そんな背景があってこの本を読んだわけですが、予想と違って非常に興味深い本でした。レッドブルは、F1にチームを持っていたり、クラブでテンションが高い若者に飲まれたりと、一見すると派手で刺激的なイメージがありますが、その背後には、経営の王道をいくようなロジックがあり、優れた戦略ストーリーを持っているんです。

レッドブルから「ベスト・プラクティス」は学べない

諌見:レッドブルに対する見方は変わりましたか?

楠木:この会社の経営は大変に面白いですね。スポーツには相変わらず関心はないですけれども。

 ビジネス書というのは、とにかくエッジをきかせて、「これからの時代ではこれが役に立つ。君もやってみよう」とうったえるものが多いですよね。商業出版なのだから、そうなるのは仕方がない。レッドブルだったら、とにかくスポーツ・マーケティングが目立っている。だから、これからはスポーツ・マーケティングですよ、さあこの成功事例に学びましょう、となりがち。ところが、それこそこの本の一番良くない読み方なんです。

 確かに、レッドブルはF1やエクストリーム・スポーツで人気を集めていて、それが成功の秘訣のように見える。これから2020年に東京オリンピックもあり、スポーツはますます重要になっていくから、スポーツ・マーケティングのベスト・プラクティスとして活用したいと思うかもしれない。でも、表面だけ真似しようとしても無理なんです。

諌見:ただ真似しようとしても失敗しそうですよね。

楠木:レッドブルの商品の独自のコンセプトがあってはじめてうまくいっているんです。全体の戦略ストーリーの一部としてスポーツ・マーケティングがあるわけですから、もともと違う戦略をとっている会社が同じような活動をしようとしても、おそらく大失敗する。表面的なノウハウを学ぶためのものとしては、これほど役に立たない本も珍しい。

諌見:参考になる部分は別のところにあるということですね。

コメント0

「レッドブル、52億本への爆走 驚異の成長戦略を暴く」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック