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権謀術数や面従腹背より大事なこと

リーダーシップの神髄を学べる本

2014年1月7日(火)

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 みなさん、明けましておめでとうございます。2014年、どのような気持ちで新年をお迎えになりましたか。

 一年の計は元旦にあり、大所高所からモノゴトを考えてみましょうということで、2014年最初の書評コラムでは、「リーダーシップのあり方」を取り上げます。

 リーダーシップを身につけるうえで一番良いのは、偉業を成し遂げた人の足跡をたどり、そのマネをすることです。年初の決意を新たにするためにも、偉大なリーダーの名言やエピソードをじっくり味わっていきましょう。

 僕が個人的に尊敬している歴史的なリーダーは紀元前6~5世紀に活躍したペルシアのアケメネス朝第3代の王ダレイオス1世と13世紀を生きたモンゴル帝国第5代皇帝、クビライが双璧なのですが、残念ながらこの2人については、多方面から検証された優れた伝記がまだ書かれていません。

 しかしこの2人に勝るとも劣らない歴史的なリーダーは、紀元前100年に生まれたカエサル、すなわちジュリアス・シーザーでしょう。カエサルについては、評伝がたくさん存在しますので、多面的にカエサルという人物を知ることができます。それではまず、カエサルが偉大たるゆえんを味わっていきましょう。


 一番のお薦めはこれです。ドイツ人の著者、マティアス・ゲルツァーによる大著を翻訳した『ローマ政治家伝』(名古屋大学出版会)の1巻、カエサルです。

 ハードカバーでかなり読み応えのある本です。冒頭から、カエサルをこう定義しています。


なぜ、カエサルは優れたリーダーだったのか

 「政治家を政治家たらしめるものとして、二種類の資質がある。一つは、直面する状況をすばやく見渡して、時宜を得た把握をした上で、現在の滔々たる流を冷静に計算しながら時の要求に応えるという才能である。今一つは、より高度なもので、政治的創造力というべきものであり、同時代の人々を新しい軌道に乗せ、新しい状態すらも創り出すものである。カエサルには、この二つの能力が備わっていた」(1ページ)

 カエサルについてこの本が一番にお勧めできる理由は、同じゲルツァーが、同じシリーズでライバルだったポンペイウスについても描いているからです。分かりやすく言えば、僕は個人的には、カエサルは田中角栄のような人で、ポンペイウスは福田赳夫のような人だったと思っています。

 カエサルは貴族出身ではありましたが、決して政治的に恵まれたわけではなく、早くに父を亡くし、若い頃は政敵(あの冷徹なスツラです)から身を守るため何度もローマを離れざるを得なくなるなど下積みのキャリアを積んでいました。一方で多くの女性に恨まれることなくもて続け、必要とあらばお金を使いまくる。公共事業などに莫大な借金をして私費を投じるなど、豪胆でスケールが大きい清濁併せのむ政治家でした。

いわばカエサルは、「人たらし」なのです。政治家としては遅咲きながら、持ち前の勘の鋭さと決断力であっという間にポンペイウスを追い抜いて行きます。

 一方でポンペイウスは名門の家に生まれたエリート育ちで親から帝王教育を受け、キャリアの早い時期から高い職位に就き、手柄がその後の勲章になるような多くの仕事の機会に恵まれながら成功体験を重ねます。そこが、旧大蔵省のエリートだった福田赳夫とイメージが重なるのです。そしてカエサルに比べれば決断力に乏しい。

 この2人を対比して読めるにとどまらず、実は、ゲルツァーのシリーズでは、3月にキケロの翻訳が出版される予定です。カエサルとポンペイウスと、その間を取り持ったキケロ。この3人の人物像を立体的に浮かび上がらせることによって、カエサルのすごさが一層よりよく理解できるに違いありません。

コメント2件コメント/レビュー

プルターク英雄伝ですか。ただ、岩波文庫の場合、文字が旧漢字を使っており、文体も文語調であるため、読みにくいです。(正直私は挫折しました)阿刀田高の「ローマとギリシャの英雄たち」のほうが読みやすくお奨めですね。(2014/01/07)

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「権謀術数や面従腹背より大事なこと」の著者

出口 治明

出口 治明(でぐち・はるあき)

ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年生まれ。京都大学を卒業後、日本生命保険に入社。同社を退職後、2006年にネットライフ企画設立、代表取締役就任。2008年にライフネット生命保険に社名変更。2013年6月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

プルターク英雄伝ですか。ただ、岩波文庫の場合、文字が旧漢字を使っており、文体も文語調であるため、読みにくいです。(正直私は挫折しました)阿刀田高の「ローマとギリシャの英雄たち」のほうが読みやすくお奨めですね。(2014/01/07)

私は映画版ですが、アラゴルンに魅力を感じます。「野武士のリーダー」としてホビット4人を従え、フロドを裂け谷まで届け、ガンダルフ亡き後は「指輪の仲間のリーダー」として、指輪の誘惑に負けずにフロドを一人で行かせ(この時、フロドに跪いて「我々人間を許してほしい」という意味のことを言っています)散り散りになった後はエルフとドワーフを従え「3人のリーダー」としてローハンに赴き、最後は「ゴンドールのリーダー」して、フロドのための囮として死にゆく戦の指揮を取る。ラストで8人の仲間が集う時に見せたアラゴルンの笑顔は「リーダーの笑顔」として映画史に残るものだと思っています。(2014/01/07)

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