• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

しまむらのキャラクター盗用問題が示す業界の体質

SNS普及で「パクり」はすぐにバレる時代に

2014年1月8日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 昨年末といってもわずか1週間あまり前のことだが、しまむらの子供服の図柄に関して、ある個人デザイナーが自身の創作キャラクターを盗用されたとブログで訴えた。この件については幸いにも、数日後にしまむらが商品を店頭から撤去することで決着したのだが、相変わらずアパレル業界には「パクり」が横行していることが改めて明らかになった。

 個人デザイナーがしまむら側に抗議のメールを送ったところ、しまむら側からは当初、「その図柄の商標登録をなさっていたのですか?」という返事が返ってきたという。このデザイナーは返信メールの全文をブログに転載していたのだが、デザイナーが文言を一切編集改変していないなら、ずいぶんと横柄な印象を抱かせる内容だった。

 このデザイナーのビジネス規模が大きいとか小さいとかはこの際あまり考慮する必要はないだろう。多少の知名度のあるブランドですら図柄の商標登録はあまり行っていないのが業界の実情である。たとえばルイ・ヴィトンのLVのモノグラムやバーバリーの独特のチェック柄など、そのブランドが定番として使い続けている図柄やロゴマーク、ブランド名については商標登録されているが、たとえばTシャツやスウェットに施したグラフィックのプリント柄やセーターの編み込み柄などは商標登録なされないことが常態である。

プリント柄の商標登録はまれ

 というのも、Tシャツやスウェット、セーターの編み柄などは、通常、1シーズンで使い捨てることが多いことと、1品番で何柄も販売するため費用や手間のことを考えると商標登録するメリットがない。このため、あるブランドがすごく個性的なグラフィックの図柄を施したTシャツやセーターを発売したとしてもそれは商標登録なされていないため、他のブランドがコピーすることはよくある。

 法的にはあまり問題がないのでよほどの個性的な図柄以外は訴訟沙汰になることもほとんどない。ただ、あまりに個性的な柄だと法的には問題がなくても道義的な問題が指摘されやすくなるということである。

 昨年の春にRBTというデザイナーズブランドの図柄がある大手ブランドにほとんどそのままコピーされたことをこのコラムで紹介した。あれも2カ月後ぐらいにはその商品が店頭から撤去され、大手ブランドからRBT側に正式な謝罪があって一件落着したのだが、その際、最初に問題となったのは「商標登録の有無」だった。RBTは複雑で個性的な図柄を作るが、毎シーズン図柄を変える。そのたびごとに商標登録していたのでは金銭的にも事務作業的にも大きな負担となるため、商標登録はしていない。それでも大手ブランド側が最終的には自社の非を認めたわけだから、まだ潔いといえる。

 この手の図柄の「パクり」でいつも不思議に思うのはどうしてズバリそのものを盗用するのかというところである。たとえばアレンジを加えて別物に仕上げるという作業がデザイナーや企画担当者にできないのだろうか。今回のしまむらが盗用したといわれる図柄はかわいいモンスターのキャラクターなのだが、写真で見比べる限りは全く同じである。角を多く生やさせるとか、三つ目を四つ目に変えるとかせめてそれくらいのアレンジがなぜできなかったのだろう。

コメント4件コメント/レビュー

創作者であるデザイナーが権利を主張することはともかく(当該デザイナーも自分のキャラを世の中にタダで知らしめる機会を喪失しただけに思えるが・・・)、第三者が「権利、権利」と騒ぐほど世の中が狭苦しくなることにいいかげん気づいたらどうだろう。(2014/01/08)

オススメ情報

「「糸へん」小耳早耳」のバックナンバー

一覧

「しまむらのキャラクター盗用問題が示す業界の体質」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

創作者であるデザイナーが権利を主張することはともかく(当該デザイナーも自分のキャラを世の中にタダで知らしめる機会を喪失しただけに思えるが・・・)、第三者が「権利、権利」と騒ぐほど世の中が狭苦しくなることにいいかげん気づいたらどうだろう。(2014/01/08)

私はこの記事を読むまで「ルシアン・ペラフィネ」というブランドを知らなかったし、当然 その柄も全く知らなかった。しかし、筆者は糸へん業界についての評論をなさっておられるわけだし、また文章から判読するに、取材先に指摘されたときに初めて知ったわけではなさそうだ。まさか『本当は知っていて買った』ことを記事の上では隠ぺいしたわけではないだろう。ならば、筆者のような専門家ですら気が付かないわけだから、もう少しレベルの低い人たちは気が付かない事例が多いのではないか。しまむらのバイヤーは責められないのではないだろうか。しまむら事件でデザイナーがしまむらにメールでしてきたのに対して「商標登録なさっていたのですか」と返信したのが「横柄だ」とあるが、ではどんな対応が考えられるのかお聞きしたいくらいだ。柄/デザインをネットで検索したら、既存事例が表示されるような仕掛けがあるといいのだが、それがない以上、パクリデザインのものをメーカーや下請けから提示されたときに、100%見抜くなどということをできる訳はないと考えるが、筆者はその点をどのように考えておられるのだろうか。(2014/01/08)

上場企業でも此の程度。デザインという付加価値を自ら否定している会社が服飾の製造販売をすると結果は明白。ただし、上場企業のしまむらですら此の程度。残念至極。以前日経ビジネスで某百貨店が自社ブランドの靴を提供しているという記事があった。あれも人気ブランドを適当にマネしただけのこと。文化的な意識が低すぎる。(2014/01/08)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

それで本当に勝てるのか。 ロマンとソロバンのはざまで葛藤しました。

金井 誠太 マツダ会長