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肥大化する米国の「獄産複合体」

受刑者は安価で計算通りに働く労働力

2014年1月7日(火)

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 刑務所産業複合体という言葉をご存じだろうか。獄産複合体という表現が使われることもある。

 米国の受刑者が民間企業の労働力として安価に使われ、それによって企業が高い利潤を上げる体制を指す。政府と軍事産業の結びつきである軍産複合体の刑務所版である。

 昨年12月初旬、米司法省は受刑者数が過去10年で27%も増加したと発表した。米国の刑務所(連邦・州・民間)に収監されている受刑者数は現在240万人を超えている。1972年の受刑者数が約30万人であったことを考えると、大幅な増加である。増え続ける受刑者を労働力として使わない手はないというのが産業界の狙いだ。

 この数字は一国単位で眺めると史上最多で、中国の受刑者総数よりも約50万人も多い。しかも米国らしいのは、民間の刑務所が増えている点だ。10年前は5カ所しかなかったが、受刑者急増により現在は100を超えている。

 民間の刑務所は日本であまり馴染みがないが、連邦・州政府と契約しており、司法で裁かれた受刑者が収監される。民間企業による経営なので、施設を維持・管理するために大手企業と契約して労働力を提供する点が特徴である。

 政府にとって受刑者の増大は予算の支出増につながり、悩みのタネである。昨年8月の司法省の報告書によると、連邦刑務所に収監されている受刑者にかかるコスト(食費、警備等)は平均で年2万1000ドル(約220万円)。コストだけを考えると、受刑者数が少ないにこしたことはない。さらに受刑者が増加の一途をたどることで、公立の刑務所が手狭になってきている。民間刑務所が増設される背景はそこにある。

麻薬犯罪厳罰化で受刑者が増加

 受刑者増は米国での犯罪件数の増加と思われがちだが、殺人や強盗などの重罪の発生率は過去10年、州によっては横ばいかむしろ減少傾向にある。

 それでは何故、受刑者が増え続けているのか。それは麻薬犯罪への厳罰が法令化されたことが大きい。詳細は避けるが、麻薬を使用・所持しているだけで実刑が下される法律が73年に施行されたのが契機となった。現在の受刑者の実に51%が、麻薬関連の犯罪で収監されている。殺人犯は全受刑者の約1%でしかない。

 前置きが長くなった。刑務所内でさまざまな製品が造られているのは日本でも同じだ。刑務製品として日本では主に家具や靴、バッグなどが製造されている。

 米国では多品目に及ぶ。米軍が使用するヘルメットや防弾チョッキ、弾丸装着ベルト、シャツやテントなどはすべて刑務製品である。また塗料や塗料用ブラシの93%、ヘッドフォンやマイクロフォンの30%、また市場に出回る21%の家具が刑務所内で造られている。さらに飛行機部品やコンピューター関連製品、医療機器なども製造されており、日本よりも多岐に渡る。ここまでは何の問題もない。

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「肥大化する米国の「獄産複合体」」の著者

堀田 佳男

堀田 佳男(ほった・よしお)

ジャーナリスト

1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、アメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社勤務後、90年にジャーナリストとして独立。政治、経済、社会問題で取材活動をつづけ、滞米25年後に帰国。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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