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でか鼻でか腹テングザルの意外な生態

京都大学霊長類研究所(2)

2014年1月22日(水)

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天狗を彷彿する長い鼻。ぽんぽこりんの太鼓腹。川に飛び込む豪快なダイビング――。姿も行動もユニークなテングザルを、マレーシアのボルネオ島で3500時間以上も観察し、霊長類で初となる反すう行動をはじめ、次々と新たな発見と仮説を生み出している松田一希先生の研究フィールドに行ってみた!(文・写真=川端裕人)

 松田さんは、13カ月間の調査期間に、3500時間以上のテングザル観察時間を稼いだ。これは恐ろしいほどの時間で、生き物のフィールドワークをしている人なら、それだけでまず敬意を表する水準だ。

 月に1度のフェノロジー調査については述べたが、研究のキモである個体群の追跡調査はどういうふうなのだろう。

 前提として、テングザルはいわゆる「ハレム」という種類の群れをつくる霊長類だ。優位なオスが1頭いて、ほかはメス、アカンボウ、コドモなどからなる群れを基本ユニットとする。松田さんが観察をすることにした群れは、マンガの「ドラゴンボール」にちなんで「ベジータ群」と名付けられ、優位なオスはベジータ、メスはチチ、ブルマ、などと名付けられた。ちょっとした遊び心である。そして、フェノロジー調査やほかの所用などがない日は、毎日、16頭(調査開始当時)からなるベジータ群を森に追った。

 「まず、前の日の夕方に、川辺のどのあたりの木で眠るか見ておきます。それで、翌朝6時きっかりぐらいから始めて、夕方6時半までずっと観察ですね」

 単純に計算して12時間以上の労働だ。非常に疲れそうだ。

 「当初はアシスタントが2人いて、3人で森に入ったんですね。例えば僕がこの雄を今日追うと決めて、アシスタントの1人はあっちのメスをというふうに決めて個体を追います。その上で詳細に行動を記録していくやり方です。残りの1人は、補助的な役割で全体を見つつ、10分置きぐらいに群れ全体の行動をチェックしたりとか、あとは川を渡りそうになったときバーッとボートをとりにいって用意して、渡った後もずっと連続して観察できるようにするというふうにやっていました」

 これを毎日12時間超、続けるのである。

 テングザルの「ベジータ群」にしてみれば、川を渡っても、なにをしようとも、ひたすらついてくるストーカー集団だ。

 フェノロジー調査も含めて非常にハードで、この時に一緒にやっていた助手は、いみじくも「何で日本人が戦後復興できたかがわかった。こんなに働いている人間を見たことがない」と感想を述べたそうだ。

優位なオスが1頭と、メス、アカンボウ、コドモなどからなる「ハレム」という群れを基本ユニットとする。
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「でか鼻でか腹テングザルの意外な生態」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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