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これは面白い! テングザルの反芻行動を発見

京都大学霊長類研究所(3)

2014年1月23日(木)

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天狗を彷彿する長い鼻。ぽんぽこりんの太鼓腹。川に飛び込む豪快なダイビング――。姿も行動もユニークなテングザルを、マレーシアのボルネオ島で3500時間以上も観察し、霊長類で初となる反すう行動をはじめ、次々と新たな発見と仮説を生み出している松田一希先生の研究フィールドに行ってみた!(文・写真=川端裕人)

 京都大学霊長類研究所の松田一希さんは、マイルドなルックス、人当たりとは印象が違うかもしれないが、いわば「フィールドの鬼」である。

 「仮説を持って、それを検証するためにフィールドで観察をする、というのは間違いではないんです。実験室でなにかの実験をする時に、研究者が確かめたい仮説をしっかり立てていないなんてことはないですし。でも、フィールドってそれだけじゃないんですよね」という主旨のことを述べる。

 「博士論文を書いて学位をとるためだけにフィールドに来るなら、それこそ実験系みたいに必要なデータだけを取って帰ることもあるでしょう。でも、それだけって、何か面白くないんですよ。実際、フィールドには、もっと面白いことがいっぱいあるんですから」

 このことは、松田さんの実体験に基づいた発言だ。単に論文書きのためだけなら不必要なくらい時間を費やして松田さんが行った観察は、様々な方面に枝葉を伸ばして新たな探究の出発点となっている。

 前にも紹介した、ウンピョウによる捕食の観察は、費やした時間と運がものをいうものだ。たった1例であったとしても充分すぎるインパクトを持つ「面白い観察」だったろう(捕食された側にとっては、たまったものではないが)。

 「あれはもう、何が起こったかと思ったんですよ。ウンピョウは、木に潜んで隠れてて、ふと気づいたらテングザルのコドモが食べられてた。テングザルの雌がバーッと来て、さらに雄も来て何とか追い払ったりするんですが、噛まれたコドモはもうグッタリしてるって感じで。ああ、本当に、捕食されているんだなあって、実感として分かったわけです。でも、でもウンピョウはね、大きさがせいぜい中型犬ぐらいなんで、見ている僕自身、そんなに恐怖はなかったです。ジャガーのときに比べれば──」

マイルドなルックス、人当たりとは裏腹に「フィールドの鬼」と化す。
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「これは面白い! テングザルの反芻行動を発見」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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