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欧州最大手ファンドが日本の中小企業を買収したワケ

日本企業が持つ「逆立ちしても手に入らないもの」とは

2014年1月17日(金)

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 戦後復興と高度成長を支えた輝かしい言葉、メード・イン・ジャパン。かつて「粗悪品」の代名詞だったそれを、先人たちは「高品質」を表す言葉に塗り替えた。日本で、日本人が生み出すからこそ、実現できる価値があると信じてきた。

 だが、経済が国境を容易に越えていく今、「日本」へのこだわりと過度の矜持は、ただ感傷的な懐古と驕慢を呼ぶにすぎない。

 攻めの2014年、世界に経営を開くために本誌が提起したいのが、「メード・ウィズ・ジャパン」の3語だ。

 世界中の人や組織が、「日本と共に」価値を生む――。ここでは、紙幅の関係などで日経ビジネス1月13日号の特集「メード・ウィズ・ジャパン」で掲載し切れなかった事例を通じて、日本が今後10年にわたって成長を続けるための条件となる「メード・ウィズ・ジャパン」というテーマを改めて訴えたい。

 2013年12月、欧州で最大規模の仏投資会社のウェンデルは、日本で初めての投資を実施した。投資先は大企業でもなく、世界にそのブランドが通じるようなメジャー企業でもない。買収したのは、日本の中堅企業だ。

 ウェンデルは総資産140億ユーロ(約2兆円)を誇り、欧州で最大手の上場投資会社だ。同社が、日本で第1号となる投資を実施したのが、埼玉県熊谷市に本社を置く日本オイルポンプだった。

 「メード・ウィズ・ジャパン」は、日本企業からその輪を広げていくだけとは限らない。世界から求められ、メード・ウィズ・ジャパンで新たな価値を生み出すケースもある。その中には、日本企業が自分自身では気づかなかった強みや価値を見込まれて「共創」する場合が少なくない。ウェンデルによる買収劇はまさにその典型だ。

 日本オイルポンプは創業90年の歴史を持つポンプメーカーで、従業員200人の中堅企業。国内でも知名度はそれほど高くはないが、工作機械の温度調節器に使われる「トロコイドポンプ」で世界シェア70%というニッチトップ企業だ。

 だが、リーマンショック後に経営が傾き、国内のファンドであるポラリス・キャピタル・グループが再生を手掛けていた。ファンドによる再生で、年商は約50億円ながら営業利益率は約10%と高収益企業へと変わった。ポラリスが売却先を探していたところ、日本企業が数社手を挙げたが、交渉は不成立に終わった。

山形工場(山形県南陽市)で世界シェア70%の「トロコイドポンプ」を製造している

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「欧州最大手ファンドが日本の中小企業を買収したワケ」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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