ついにというべきか、ようやくというべきか、オープン以来売り上げ不振が続いていたJR大阪三越伊勢丹の売り場縮小が1月21日、発表された。現在5万平方メートルある売り場のうち、3万3000平方メートルを隣のファッションビル「ルクア」と一体化した専門店街にするというから、売り場の6割以上が専門店街へとリニューアルすることになる。
またその後の報道では「三越伊勢丹」の屋号すら変える可能性があるとも伝えられている。新しい専門店街は2015年春にオープンし、ルクアと合わせた売上高は800億円を見込んでいるが、ルクアとJR大阪三越伊勢丹の2つを合わせた売上高は約670億円(2013年3月期)しかないから、120億円強の上積みが必要となる。これを実現するのはかなり難しい。縮小するJR大阪三越伊勢丹は衣料品と化粧品を残し、美術品や呉服売り場を全廃する。
近年まれに見る大失敗
JR大阪三越伊勢丹は近年まれに見る惨敗である。2013年3月度の売上高は303億円にとどまっており、その後も客入りが増加したとは耳にしたことがないから2014年3月期の売上高はおそらく300億円を下回るだろう。今回はこの不振の要因を改めて考えてみたい。
要因についてはこれまでも様々な識者がいろいろ指摘をしてきた。それらはすべて正しいと思う。筆者が記憶している識者の各指摘を羅列してみる。「品ぞろえが悪い」「自主編集売り場が大阪になじめなかった」「ブランドラインナップがイマイチ」「年配層が中心の三越顧客に対して伊勢丹という名前が響かなかった」「伊勢丹の看板に胡坐をかいていた」などなどである。
どれか1つが決め手となったのではなく、これらすべてが複合して、JR大阪三越伊勢丹の不振の原因になったと考えている。
個人的に気になったのは店舗内の薄暗さである。低層階はまだ照明が明るいが、中層階から上は薄暗い。当初、東日本大震災の影響による節電かと考えたのだが、どうやらそうではなく、現在に至るまで照明が薄暗いままだ。とくに各階のエスカレーターが薄暗い。照明の明るさや色合いは人それぞれの好みがあるが、筆者は薄暗い照明はもとから嫌いである。
JR大阪三越伊勢丹の場合は、人の入りの悪さと相まって、照明の薄暗さが寂しさや辛気臭さを感じさせていた。もしかしたら施設側は「ムード」を演出したのかもしれないが、ちょっと暗すぎたように感じる。あくまでも個人的好みではあるが。
不振の原因として「場所が悪かった」と説明する人もいるが、これはあてはまらないと断定したい。なぜなら、隣のルクア、対面のグランフロント大阪の入りは今も堅調である。近接している施設が満員であるのに場所が悪いはずがない。むしろ特等席だったといえる。地の利を活かしきれなかったのはJR大阪三越伊勢丹側のオペレーションが至らなかったからだろう。
まったくもっておっしゃる通りで、筆者が以前から懸念されてきたことが現実になったということでしょう。いや、こんなことは素人でもわかっていたことです。◇大体伊勢丹は、あまりにも東京で過剰な高評価を得たために、商売の基本を忘れているのではないでしょうか?オープン時のコピーが「大阪に、たったひとつ、なかったもの」ですよ。どれだけ上から目線!(笑)◇それでもあの伊勢丹が関西に来る、どんなものかとわくわくしていったのに、ちっとも素敵な商品がなく、がっかり感は半端ありませんでした。「え?伊勢丹ってこんなもの?」とさえ思いましたよ。◇それでも「東京流が関西人に理解されなかった」と言い訳する伊勢丹上層部。売り上げが悪いのは関西の客のせいですか。この箱ごと新宿に持って行ってもきっと同じ結果ですよ。こんなことを言っているようでは一生浮上しませんね。(2014/01/29)