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モノ作りを捨てたダメ企業だけが生き残るのか

利益だけなら製造委託が大正解なのだが

2014年2月5日(水)

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 先日、ウォルマートは自国内製造業支援のためのファンドを設立した。規模は1000万ドルで、アメリカ製造業のイノベーションを支援するものとしている。「どうせ買うなら海外産でなく、国内産を」。これはバイ・アメリカン法(景気対策の一環として公共事業などにアメリカ製の鉄鋼購入を義務づけたもの)と軌を一にするもので、同社はミドルクラス層の再生も掲げている。

 ウォルマートの呼びかけに、自転車メーカー(自動車メーカーではない)は工場を海外から自国に移すとも発表した。アメリカにおける生産回帰、リショアリングをめぐる報道は多い。

 さて、前回は「生産回帰バカ」と挑発的なタイトルにして、いったん海外に生産を移したあとは、熟練工が不在となるため、国内に生産を回帰しようとしても引き受ける人材がいなくなる可能性を示唆した。著者の知人は、アジア各国の熟練工から日本人が教えを請う日がやってくるのではと述べた。モノ作りにおいてアメリカを日本が追い越したように、アジアが日本を追い越す日が近いというのだ。

 ところで、海外工場から生産を移管する時、自国工場に引き戻すのが1つの方法。そしてもう1つ、自国あるいは他国のEMS(electronics manufacturing service、電子機器の受託製造サービス)に任せるという方法がある。委託する側からすると、製造委託先(manufacturing subcontractor)とも呼ばれる。生産回帰に続く今回のテーマは、この製造委託、EMSだ。

ホンハイ筆頭に拡大するEMS

 先日、かねて独BMWグループと親密なカナダのマグナ・インターナショナルが同社の自動車関連の製造委託を拡大すると発表した。その他、医療機器メーカーに関してもEMSを活用するという報道が多くされている。

 しかし、最も有名なのはアップルだろう。ファブレスにより多くの商品を発売してきた同企業は、「iPhone」などの生産をEMSに委託してきた。台湾に本社を構える鴻海(ホンハイ)精密工業とその生産子会社である富士康科技(フォックスコン)はiPhoneを請け負うことで、電子機器受託生産企業としてトップにのし上がった。

 ホンハイが請け負っているのは、iPhoneだけにとどまらない。ホンハイはiPhoneの対抗馬の1つであるBlackBerryの製造も請け負う模様で、2月に発表すると見られる。これまでホンハイは、様々なクライアントの製造委託を鯨のように飲み込み、そのクライアントたちの身体機能そのものを代替しようとしている。ホンハイのトップである郭台銘氏は、妻を癌で亡くした経験から、癌治療センターへ約5億ドルもの巨額寄付を行うなど、ビル・ゲイツのような慈善活動にまで手を広げており、その動向は常に注目されている。

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「モノ作りを捨てたダメ企業だけが生き残るのか」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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