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iPhoneは無理!中国労働者のリアル家計簿

空白の巨大スマホ市場に参入の余地あり

2014年2月6日(木)

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iPhone 5c発売初日、アップルストア上海南京西路店の様子。この時は熱気に溢れていたが……

「祝新年快楽、馬年健康」

 春節(旧正月)初日の1月31日。筆者が中国用の携帯電話として使っている米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone 3GS」にメッセージが入った。このiPhone、もともとは2009年にソフトバンクで購入し日本で使っていたものだが、動きが悪くなって買い替えたのを機に、上海の業者にSIMロックを外してもらい、中国の移動通信キャリア、チャイナモバイルのSIMカードを差して使っている。

 ただSIMカードは10年前から使っている2G(第2世代移動通信)のもの。インターネットもメールもできるが速度は遅い。ちなみに日本用には昨年末に買った2013年の旗艦モデル「iPhone 5s」を使っている。

 メッセージの主は周くん、22歳。上海浦東空港にある物流会社の倉庫で働いている。月給は3500元(約6万円)。上海から約500km離れた安徽省の農家の出身で、いわゆる「農民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者だ。

 私は彼に、「iPhone、買えなかったんだね。残念」と返事をした。

 「新年おめでとう、午年も健康でありますように」というメッセージに対してそんな返答をしたのにはわけがある。

 昨年、周くんの実家で出産しそのまま子育て中の19歳の奥さんが使っているスマホが古くなり動きが遅くなってきた。子供の成長を記録して上海で1人で働く周くんのスマホに送るにも不便だ。今使っているのは2人とも、2年ほど前に1000元(約1万7000円)で買ったレノボ。

 そこで周くんは、アップルが昨年9月、iPhone 5sと同時に投入した廉価版の「iPhone 5c」を、春節に帰省する際、奥さんへのお土産に買って帰るんだと話していたのだ。「iPhone 5cを買ったら春節の挨拶は、山田のiPhoneに故郷からビデオ通話のFaceTimeでかけるよ」と。

 ところが、周くんから入った新年の挨拶は、文字のみのメッセージだった。

 「うんiPhone 5cは今回は見送った。やっぱり給料1カ月分を超える買い物は躊躇してしまう。購入用に貯めた3500元は、ほかの仕送りと一緒に現金で妻に渡したよ」

スマホ購入予算は給料1カ月分

 その周くんの1カ月の収支はこんな感じになる。

  • 世帯収入 3500元
  • 家賃 500元(光熱費込み)
  • 食費 800元
  • 雑費 200元(衣類・ネットカフェなど)
  • 交際費 200~500元
  • 携帯電話代(データ通信込み)100元
  • 子供用積み立て 200元
  • 仕送り 1200~1500元

 食事は2食が外食、1食が自宅で自炊という割合。外食は職場近くの食堂で定食や麺を食べることが多く、平均すると12元(200円)。

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「iPhoneは無理!中国労働者のリアル家計簿」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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