「祝新年快楽、馬年健康」
春節(旧正月)初日の1月31日。筆者が中国用の携帯電話として使っている米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone 3GS」にメッセージが入った。このiPhone、もともとは2009年にソフトバンクで購入し日本で使っていたものだが、動きが悪くなって買い替えたのを機に、上海の業者にSIMロックを外してもらい、中国の移動通信キャリア、チャイナモバイルのSIMカードを差して使っている。
ただSIMカードは10年前から使っている2G(第2世代移動通信)のもの。インターネットもメールもできるが速度は遅い。ちなみに日本用には昨年末に買った2013年の旗艦モデル「iPhone 5s」を使っている。
メッセージの主は周くん、22歳。上海浦東空港にある物流会社の倉庫で働いている。月給は3500元(約6万円)。上海から約500km離れた安徽省の農家の出身で、いわゆる「農民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者だ。
私は彼に、「iPhone、買えなかったんだね。残念」と返事をした。
「新年おめでとう、午年も健康でありますように」というメッセージに対してそんな返答をしたのにはわけがある。
昨年、周くんの実家で出産しそのまま子育て中の19歳の奥さんが使っているスマホが古くなり動きが遅くなってきた。子供の成長を記録して上海で1人で働く周くんのスマホに送るにも不便だ。今使っているのは2人とも、2年ほど前に1000元(約1万7000円)で買ったレノボ。
そこで周くんは、アップルが昨年9月、iPhone 5sと同時に投入した廉価版の「iPhone 5c」を、春節に帰省する際、奥さんへのお土産に買って帰るんだと話していたのだ。「iPhone 5cを買ったら春節の挨拶は、山田のiPhoneに故郷からビデオ通話のFaceTimeでかけるよ」と。
ところが、周くんから入った新年の挨拶は、文字のみのメッセージだった。
「うんiPhone 5cは今回は見送った。やっぱり給料1カ月分を超える買い物は躊躇してしまう。購入用に貯めた3500元は、ほかの仕送りと一緒に現金で妻に渡したよ」
スマホ購入予算は給料1カ月分
その周くんの1カ月の収支はこんな感じになる。
- 世帯収入 3500元
- 家賃 500元(光熱費込み)
- 食費 800元
- 雑費 200元(衣類・ネットカフェなど)
- 交際費 200~500元
- 携帯電話代(データ通信込み)100元
- 子供用積み立て 200元
- 仕送り 1200~1500元
食事は2食が外食、1食が自宅で自炊という割合。外食は職場近くの食堂で定食や麺を食べることが多く、平均すると12元(200円)。
かつて、AppleComputerが世界から見放されている時に買い支えていたのは日本。 iMacで復活後にcubeでピンチになった時に買い支えたのも日本。 で、ipodで復活後、iPhoneで国内携帯産業が大打撃を受けても、今世界で飽きられつつある中でも逆にiPhoneに群がる日本。 そこに、中国も参戦。。。 Appleにとって、アジアはおいしいすぎですね。(2014/02/07)